"出来が良すぎるという理由" 第14話
枚の類
午分。
区から戻ったボルボの輪が、本社ビルの駐に滑り込んだ。
エンジンが止まると、内に鳴りのような静寂が戻った。
黒澤はハンドルに両を置いたまま、かなかった。鏡の奥の瞳は、徹夜の運転と葵の言葉によって完全にを失っていた。
「黒澤さん、きますよ」
私が声をかけると、黒澤はさく頷き、無言でドアをけた。
エレベーターで最階の階へがる、のに交わされた言葉は言もなかった。
第1特別会議。
普段は取締役会やな買収交渉に使われるな部の扉をけると、すでにテーブルの片側には審査関係者が顔を揃えていた。
央に常務取締役の森。
その隣に事マネージャーの寺崎、隣には法務部とデジタル推の統括役員。
壁際のパイプ子には、利害関係者としての同席を求められた同期の羅が、背筋を伸ばして座っていた。
「座れ」
森がく命じた。
テーブルの向かい側、私と黒澤のために用されたつの席のに、それぞれ束の類が並べられていた。
側に、葵のノートからコピーした、あの黄い付箋の図版。
央に、黒澤がに提した『2011-P-044』の企画と千万円の赤字決算。
側に、私が昨提したページの形図と、ヤマト品とのテストラン議事録。
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つの代のが、蛍灯のいので無言の対峙を続けていた。
森が万のキャップをした。
「神、黒澤。昨のヤマト品とのテストランの報告は受けている。川部からは異例の評価だ。来期、ヤマトとの包括アライアンスを組むための目玉として、が社はこの規事業を正式に推することを決めた」
森は線をげ、私たちを交互に睨み据えた。
「つまり、企画そのものを握り潰すという選択肢は消えた。だが、社内コンペの規程、誰が最優秀賞であり、誰がこの事業の責任者であるかを確にしなければ、役員会での予算承認がりない」
森は元のい類を枚、テーブルの央へ滑らせた。
『若企画コンペティション最終裁定に関する覚』。
「これが役員会のした最終な落としどころだ」
寺崎が横から内容を読みげた。
「、最優秀賞の受賞者名義は神悠斗とする。賞万円も神に全額授与。
、ただし、本事業のちげにあたり、第制作部・黒澤誠司を『統括エグゼクティブディレクター』としてプロジェクトのに据える。
、社発表における企画原案のクレジットは、制作局の連名表記とし、個の専物とはしない。
、黒澤誠司は提済みの資格取消申請を即座に取りげる」
寺崎は読み終えると、私に黒い性ボールペンを差しした。
「神、これでおのメンツも実利も守られる。黒澤さんも、培った見を事業に反映できる。社内政治としても、対クライアントの信用としても、これ以の解決策はない」
「分で決めろ」
森がたく言った。
「サインするなら、こので全員が捺印して打ちだ。もしどちらかが拒否するなら、コンペの最優秀賞は取消、該当者なしとする。ヤマトとの案件は制作局の預かりとし、おたちはプロジェクトから完全にす」
羅が、息を詰めて私を見つめていた。
元のボールペンが、属のたさを指先に伝えてくる。
の解決策。
波をてず、全員にしずつの柄を分け与え、過のを綺麗に塗り込めるための、完璧な妥協案だった。