"出来が良すぎるという理由" 第7話
ページの形図
曜の夜、私は会社のデスクで、最の枚のプリントアウトをホチキスで留めた。
さにしてセンチ。
表にはきくタイトルを打った。
『事業構の自発展に関する経緯報告——なぜ本作は「継承」であり「盗用」ではないのか』
全ページ。
入社以来、私がき溜めてきたすべての考プロセスを、形図として化した資料だった。
根本にあるのは、確かにあの百ページの図だった。そこはもう隠さない。
だが、そこから枝分かれした素を、本本完全に分解した。
ターゲット設定:件の実インタビューに基づくペルソナ。
収益化エンジン:専用端末を廃止し、LINEのミニアプリを活用した初期投資ゼロの決済導線。
リスク管理:ユーザーのトラブルを防止する第者エスクロー決済と、額期保険の自付帯スキーム。
黒澤がに犯した「千万円の赤字」の因を、現代のツールですべて論破し、潰していく構造になっている。
これは黒澤への復讐ではない。
私が私ので、この企画をこの代に産み落としたという、かぬ証拠だった。
午。
私は規事業発本部のフロアへ向かった。
向かった先は、奥にあるなガラス扉の役員。
にいたのは、常務取締役の森だった。
髪交じりの髪に、彫りのい顔。
広告
に黒澤のプロジェクトを凍結させた張本であり、今回の若コンペの最終審査委員でもある。
「入れ」
森は元のタブレットから線をげず、く言った。
私はデスクのにみて、ページの資料を両で差しした。
「神です。昨の審査結果保留の件について、私の企画の正当性を証する資料を作成してまいりました。ご読をお願いします」
森はタブレットを置き、ページの束を受け取った。
ペラペラと、親指での端を弾く。
わずか秒。森はその分い資料をデスクの端に置いた。
「読まれないんですか」
私の声に、森はややかな目を向けた。
「神、おは学の研究にいるつもりか?」
「いえ……」
「ここは広告会社だ。をしてくれるクライアントがいて、初めてビジネスが成する。誰が最初にいついたか、誰が何ページ努力したかなどという内輪のプライド戦に、役員が何も付きえるとっているのか」
森はデスクののペンてから、なモンブランの万を引き抜いた。
「黒澤からがってきた申請も読んだ。おのこの形図も、言いたいことは体わかる。黒澤の言っていることは論だし、おの言っていることは自己正当化だ」
「自己正当化ではありません! 私は黒澤さんの失敗を全部分析して——」
広告
「それが自己正当化だと言っているんだ」
森のが、静かな役員に響いた。
「黒澤がなぜに失敗したか、おは財務諸表を見てで笑ったんだろう。だがな、あの黒澤がやろうとした専用端末の構がなければ、当の役員会は実証実験の予算すらさなかった。代がすぎたことと、ビジネスとして稚拙だったことは別だ。そしておの企画は、インフラがった今の代だからこそ、綺麗に見えているだけだ」
息が詰まった。
森は万を机のにカチリと置いた。
「神。この企画が本当におのものだと言うなら、ので証するな」
「……どういうことですか」
「の午、ヤマト品のマーケティング部が来社する。が社の最クライアントだ。彼らは今、若層向けのしい顧客接点プラットフォームを探している」
森は帳をき、淡々とスケジュールを告げた。
「防音で、非公のテストランをう。クライアントをにして、この企画を実際にプレゼンしろ。審査員はおの司でも、事でもない。を払う顧客だ」
「プレゼン……私が、ですか?」
「おじゃない」
森はたい笑みを唇の端に刻んだ。
「黒澤とでプレゼンしろ。おがメインの仕組みを話し、黒澤が運用リスクの説を担当する。どちらか方がボロをすか、クライアントので醜い主導権争いを始めた瞬、この企画は永久に廃棄する。
コンペの最優秀賞も取消、該当者なしだ」
「黒澤さんと……で?」
「嫌なら今すぐ辞退届にサインしろ。羅を繰りげるだけだ」
森の目は、完全にビジネスの徹な秤そのものだった。
逃げは、どこにも残されていなかった。