"「お前はただの手伝いだ」" 第13話
夜けに並んだ基の
告別式の朝、午半。
の空がみ始めたばかりの暗がりの、Cホールのにった私のが止まった。
建物のには、昨夜までも形もなかった巨な物体が、壁のようにちはだかっていた。
さメートルを超える特注のスタンドが基。に基ずつ、ホールの狭い入りを挟み込むように並べられている。朝の気ので、輪の百と胡蝶蘭が濃な芳を放ち、垂れがった黒の極太リボンには、文字の跡が誇らしげに躍っていた。
『供 倉岡葬儀社取引先親睦会 同』
『供 内寺院連会 志同』
その列の央に、の男が仁王ちしていた。
喪に着替えた修司だった。仕ての良い黒のスーツにを包み、腕を組んで、たい朝靄のにい息を吐きしている。彼の元には、を固定するための嚢や濡れた段ボールが散らばっていた。
「修司」
私の声に、修司はゆっくりと首を巡らせた。
目のには赤黒い隈が浮きていたが、その瞳には追い詰められた獣のような濁ったが宿っていた。
「来たか、千」
「これを今すぐ撤しなさい。指示にも、昨夜の通夜の席でも、供は切辞退すると――」
「撤はしない」
修司は遮るように歩踏みした。革靴が砂利を踏みしめる音が、静かな敷に響く。
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「昨夜の通夜は、おの好きにさせてやった。あんなみすぼらしい寄りばかり集めて、内だけで済ませたんだから文句はあるまい。だがな、今の告別式は別だ。になれば、県内の同業社や取引先の幹部が、焼だけでもと必ずこの敷を通る。そのに入りにのつもていなかったら、倉岡葬儀社は『内の葬式すら満にせないほど傾いている』と噂をてられるんだよ」
事務所の通用から、真奈美が駆け寄ってきた。には温かい缶コーヒーを持っている。
「社、お疲れ様です。……千さん、もう諦めてください。のトラックを呼んで、私が直接指示して並べさせたんです。このをかそうとしたら、今度は器物損壊で警察を呼びますからね」
真奈美は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、修司の腕に触れようとした。だが修司は、そのを鬱陶しそうに払いのけた。
彼の線は、真っ直ぐに私だけを射抜いていた。
「千。おは俺を憎んでいるんだろう。婚届に判を押させられて、会社から追いされた腹いせに、おふくろの遺言を盾にして俺をいたぶりたいだけだ。だがな、これ以は歩も引かんぞ。俺がこの会社の板を守る。に指本触れてみろ。力ずくでも摘み資してやる」
私は何も言わなかった。
警察を呼ぶとも、遺体を搬するとも脅さなかった。
ただ、肩に掛けていた黒い布バッグのファスナーを静かにけた。
奥から取りしたのは、静さんの遺品のにあったさな桐箱だった。、義母が毎使っていた檀の数珠が入っていた箱だ。その底板の隙から、私はさく折り畳まれた枚の片を抜き取った。
片を指先で挟み、修司の目のに差しした。
「何だ、それは」
「静さんがくなる、私の机の引きしに自分で入れたメモよ。あなたがるべき言葉がいてある」