"「お前はただの手伝いだ」" 第6話
段の祭壇
午過ぎ。会館裏の搬入に、けたたましいブレーキ音をててトントラックが横付けされた。
荷台の観音きドアがくと、気と共に菊と百のい芳が流れ込んできた。作業着姿ののスタッフががかりで、巨な鉄骨の骨組みをろし始める。
「おい、気をつけろ! 菊のラインを崩すなよ!」
指示をばしていたのは修司だった。
トラックから運びされていくのは、幅、さメートルを超える特注の祭壇だった。最段には最級の胡蝶蘭が敷き詰められ、には滝のように流れるトルコキキョウが配置されている。通常、会葬者が百を超える規模な社葬でしか使われない、カタログ価格百万円の「極(きわみ)」プランの祭壇だった。
私はトラックのステップにをかけ、荷受伝票を奪うようにして確認した。
発注者名義:株式会社倉岡葬儀社 代表取締役 倉岡修司。
搬入先:館・翔の(Aホール)。
「修司」
私は積みろし作業の真んに割って入った。
「作業を止めてください」
「おい、邪魔をするな!」修司が鳴った。「見ての通り、が設営に入ってるんだ。Aホールの設営にははかかる。ぐずぐずしてる暇はないんだよ!」
「会は本館のCホールだと指示にあります。あの坪のホールに、この祭壇が入るわけがないでしょう」
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「だからAホールに変更したんだ! 当たりだろうが! 夕方から議会の連も来る。医師会の理事も顔をす。あんな裏の暗い納みたいなCホールでおふくろを晒せるか! 遺言だか何だからんが、実際のオペレーションを回すのは会社だ。代表権を持つ俺が決定した!」
真奈美がバインダーを抱えて駆け寄ってきた。
「そうです、千さん。この祭壇は特注品で、すでにキャンセル料は百パーセント発しています。今さら返品なんてしたら、百万円以の違約が会社から持ちしになるんですよ? 経営覚もないのにししないでください!」
私は真奈美の言葉を無し、の責任者である配送主任のにった。
「主任さん」
「は、はい……?」
「私は故・倉岡静の唯の公正証遺言執、倉岡千です。今朝、貴社にFAXで受任通と施制限の規約を送付してありますね」
主任の表が凍りついた。
「え、ええと……営業課からは何も聞いていませんが……」
「この発注は、遺言執者の承諾を得ていない無効な発注です。受取を正式に拒絶します。もし設営をした、法侵入および故の信託財産に対する損害賠償請求の続きに入ります。代の請求先は倉岡葬儀社ではなく、発注者個である倉岡修司氏個へ回すよう、今すぐ本社へ確認を取ってください」
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「ちょ、ちょっと待ってください! 個請求!?」
主任は慌ててポケットからスマートフォンを取りし、作業員たちに「ろすの待て! 旦止めろ!」と叫んだ。
「千……!」
修司の顔が、りと羞恥で引きつった。額に青筋を浮かべ、拳を握りしめて私に迫る。
「お、本気で俺を潰す気か……! 俺を全業界の笑い者にしたいのか!?」
「笑い者にしているのは、あなた自よ」
私はポケットから折り畳んだ用を取りし、修司の胸元に叩きつけるように押し当てた。
静さんが遺した、名の参列者名簿だ。
「この名簿をもう度よく見なさい。議会議員の名がでも入っている? 医師会の理事がいる? いないわ。ここにあるのは、元従業員、所の百、銭湯の番、あなたが『にならない』と切り捨てた古い付きいのたちばかりよ。修司、あなた、この名簿の半分も、そのたちが今どこで何をしているか言えないでしょう」