みかん小説
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"面談記録にあった前妻の名前" 第18話

今夜のカレー

正ので、何枚かの写真を撮った。

健司と遥のツーショット。

遥と綾子のツーショット。

そして、遥が「美咲、絶対に入って!」と腕を引っ張って撮った、私と遥のツーショット。

揃っての族写真は、枚も撮らなかった。

それでよかった。無理にひとつの枠に収まる必なんて、どこにもなかった。

をて、駅へと向かう宅のを歩いた。

健司は「会社に顔をしてくる」と言って、に別の方向の改札へと消えていった。

残されたのは、私と、遥と、私の半歩ろを歩く綾子のだった。

踏切の警報が、カンカンカンとい音をてて鳴り始めた。

遮断がり、私たちはたいのでを止めた。

目のを、のが轟音をてて通り過ぎていく。

遥は私の隣にち、紺のマフラーに顔をし埋めながら、私のコートの袖をツンツンと引いた。

「美咲」

「ん? なに?」

「今さ、夜ご飯、何にする?」

私はし考えてから、遥の横顔を見つめた。

「遥の好きなものでいいわよ。卒業祝いなんだから。何がべたい?」

「んーとね……」

遥はわざとらしく井を仰ぎ、それからニヤッと笑った。

「美咲の作った、いつものカレーがいい。牛肉がゴロゴロ入ってるやつ」

「ふふ、そんなのでいいの? 奮発してお寿司でも取ろうかとってたのに」

「カレーがいいの。あの、ちょっと辛いやつ」

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遥は満そうに頷いた。

そして、ほんのしだけ躊躇うように歩の端に線を向け、ろを歩いていた綾子を振り返った。

綾子は、しれたところで慮がちにち止まり、私たちの会話を微笑みながら見守っていた。

遥はそんな実母の目をまっすぐに見つめ、それから私に顔を向けた。

その瞳には、かつてのような「捨てられるかもしれない」という怯えは、微も残っていなかった。

「あのね、美咲」

「なに?」

「お母さんも……緒に来て、べてもいいかな?」

空気が、ふわりと揺れた。

のりった線の向こうから、を運ぶ温かいが吹き抜けていく。

遥は、綾子のことを「お母さん」と呼んだ。

私のことを「美咲」と呼んだ。

呼び名を変える必なんてなかった。

つの名は、どちらも彼女にとって、かけがえのない居所の印なのだから。

私は振り返り、戸惑ったように目を丸くしている綾子の顔を見た。

「えっ、私はそんな……ご迷惑じゃ……」と慌ててを振る彼女の姿は、やはりどこか頼りなくて、し笑しかった。

私は遥のにそっとを置き、柔らかく微笑んだ。

「自分で聞きなさい」

遥がパッと顔を輝かせた。

「お母さん! カレー、べてくでしょ? 美咲のカレー、すごく美しいんだから!」

遥が駆け寄り、綾子の腕を引っ張った。

綾子は困ったように、けれど涙をいっぱいに溜めた笑顔で、何度も、何度も頷いていた。

遮断ががり、澄み渡る青空のに、まっすぐながいた。

誰かを追いす必のない、しい季節が、静かに始まろうとしていた。

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