"学年五位の二浪息子" 第11話
破られた募集項
私がやってきたことの正体。
それは「教育な母親」でも「子供を信じる母親」でもなかった。
母子庭という世の目に怯え、息子のの責任をで背負う勇気がなく、先という都のいい権威にすべてを丸投げしていただけの、卑怯な臆病者だった。
『先がそう仰っているから』
その言を免罪符にして、私は息子が発していた必の鳴を、触りのいい正論で塞ぎ続けてきたのだ。
「……ごめん」
畳のに額を擦りつけるようにして、私は絞りした。
「ごめんなさい、直。本当に……ごめんなさい」
涙での目が滲んで見えなかった。どんなに謝っても、あの子が奪われたは戻ってこない。真っ暗な自習で、で震えながらペンを握り続けていた々の孤独を、消しることなんてできない。
「お母さん、ってよ……みっともないよ」
直の戸惑うような声がってきた。
私はゆっくりと顔をげた。涙とでぐしゃぐしゃになった顔で、息子のに膝ちになった。
居の棚へ歩み寄り、そこに飾られていた分い冊子を引っ張りした。
『等学 徒募集項』
の文字で名が箔押しされた、誇らしげなパンフレット。そして、その横に積まれていた、先から渡された「問」の特訓プリントの束。
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私は募集項の表に指をかけた。
「お母さん……? 何してるの……」
ビリッ、と。
乾いた静かな音が、朝の居に響いた。
沢のある質なが、真んから無惨に引き裂かれた。
「お母さん!」
私は止まらなかった。引き裂いたパンフレットをさらに半分に破り、ゴミ箱へ投げ捨てた。続いて、先の作りの特訓プリントを掴み、束のまま力任せに引き裂いた。
吹のように、難解な数式と英単語の羅列がに散らばっていく。
「もう、受けなくていい」
私は直のに戻り、両であの子のたいを包み込んだ。
「なんてかなくていい。先の言うことなんて、度と聞かなくていい。あなたが願をすは、あなたが自分で決めて」
直は息を呑み、散らばったくずと私の顔を交互に見つめていた。
「もし、あなたがにきたくないって言うなら、それでもいい。名も聞いたことのない学にきたいって言うなら、私は笑って印鑑を押す。『もったいない』なんて、度と言わない」
直の唇が、刻みに震え始めた。
「……本当に? 僕が……にかなくても、お母さん、らない?」
「るわけないでしょ」
私は直のを、痛いほどく握りしめた。
「あなたのは、先の作品じゃない。私の見栄の具でもない。あなたが息をして、笑ってきていてくれれば、私はそれだけでいいの。
その当たりのことに気づくのに、もかかって……本当にごめんね」
直のきな目から、ぽろぽろと粒の涙が零れ落ちた。
声をさずに泣く癖のついていた子が、喉の奥からさな嗚咽を漏らした。
「う……っ……ぐすっ……」
直は机に額を押し当て、子供のように声をげて泣き始めた。
、度も見せなかった涙だった。格の通を見たも、模試で胃を痛めたも、決して流さなかった涙が、破られたプリントのので、堰を切ったように溢れしていた。
私はその震える背を、ただ静かに、抱きしめ続けた。