"消えた夫と十二時十分の弁当" 第12話
曜の文字
曜も、曜も、端末は沈黙を守り続けた。
のは、修司がいなくなると同じように忙しく回っていた。
所の常連客が「ごちそうさま、今も美しかったよ」と銭を置いていき、仕入れの百が威勢のいい声でキャベツの箱をろしていく。
常は何わぬ顔で流れていくのに、私の胸の真んには、たいが吹き抜ける巨な穴が空いたままだった。
奈央は、私が修司への弁当作りをやめたことに気づいていた。
何も言わなかったが、朝の噌汁をみ、をる際に「ってきます」とさく呟くようになった。ほんのしだけ、母と娘のあいだの氷が解け始めていた。
夜、で布団に入ると、暗ので井を見つめながら考えた。
修司は今、どこで何をしているのだろう。
持ちのはいくらもないはずだ。
格のビジネスホテルか、それとも営業のネットカフェの暗いブースにでも潜り込んでいるのだろうか。
コンビニのえたおにぎりをでかじりながら、私のいた『自分で直接、奈央に聞きなさい』という文字をいしているのだろうか。
私は彼を追い詰めたのだろうか。
それとも、ようやく彼を、自分のでたせようとしているのだろうか。
答えはなかった。
ただつ確かなのは、、私たちが積みげてきた『何も言わずに分かりう夫婦』というは、完全にんだということだった。
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お互いに傷つかないよう、波をてないよう、夫は沈黙という殻に閉じこもり、妻は世話を焼くことで主導権を握り続けた。
その結果が、あの裏での破綻だったのだ。
修司が姿を消してから、ちょうどヶが経とうとしていた。
に入り、は本格なの気に包まれていた。
蝉の声が商のから聞こえ始めた、曜の朝。
午分。
の仕込みをしていた静かな厨に、突如として甲い子音が響き渡った。
ピピッ――ピピッ――。
キッチンプリンターが、い沈黙を破ってきしたのだ。
吉田さんがハッとして振り返り、私も包丁を止めて械へと歩み寄った。
昼の分ではない。朝の過ぎだ。
吐きされてきた伝票には、料理の注文は切記載されていなかった。
【注文内容:なし】
【請求額:0円】
システムの『舗への連絡事項』として送信された、わずかの通信記録。
私はを千切り取り、印字された文字を指先でなぞった。
【来週の曜、を取りに帰りたい。】
備考欄に打ち込まれたのは、その文字だけだった。
「……?」
吉田さんが息を詰めて私を見つめていた。
『帰りたい』。
『やり直したい』でも、『すまなかった』でもない。
ただ、着替えのを取りに、に寄るという事務な宣告。
だが、あの男が、全なスマートロッカーの裏からて、自分のでこのの玄関の敷居を跨ぐと決めたのだ。
逃げすのではなく、私の目のに、現実の姿として現れると決めたのだ。
私はレシートを胸元に引き寄せ、く、く息を吸い込んだ。
ヶ。
かった悪の答えわせのが、すぐそこまで迫っていた。
逃がさない。
もう、優しい言葉で誤魔化すことも、彼の痛みを私が肩代わりすることもしない。
のとして、族を捨てて逃げした男のに、私は妻として、真っ向からたなければならなかった。