"消えた夫と十二時十分の弁当" 第2話
空になった受け取りロッカー
警察署の活全課の窓は、どこか暗く、埃っぽいの匂いがした。
担当した配の警察官は、私の話を帳にき留めながら、淡々と現実を突きつけてきた。
「成の男性で、遺や争った形跡がないとなると、警察がを斉に捜索するというのは難しいんです。いわゆる『自発失踪』の能性もありますから」
事件性がない、という言葉がたく響く。
携帯の波が最に途切れたのは、会社とは反対方向にある私鉄のターミナル駅周辺だった。
クレジットカードの利用履歴は止まり、座からもまとまったおが引きされた形跡はない。
に帰り、修司の引きしを片っ端からけた。
パスポートは帳のに挟まれたままだった。普段使いのキャッシュカードも、実の母の写真も、机のに置きりにされていた。
唯消えていたのは、休に所へかけるときによく羽織っていた、濃紺ののナイロンジャケットだけだった。
計画な逃には到底見えなかった。
けれど、突発な事故だとしたら、なぜ経ってもどこからも連絡がないのか。
曜の昼、内は所のサラリーマンや主婦でごった返していた。
修司のことがかられず、フライヤーのにちながら何度も油の温度を見誤りそうになる。
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奈央は学へったが、朝から言もをきかなかった。
分。
注文をらせるキッチンプリンターが、けたたましい子音とともにレシートを吐きした。
デリバリー代の端末からんできた、オンライン注文の通だった。
吉田さんが械からピッとを切り取り、何気なく目を落とした瞬、そのがぴたりと止まった。
「……、ちょっとこれ見て」
渡された細いレシートの文字を、私は度見返した。
【Aセット】
・梅干し抜き
・玉子焼き+1個追加
お届け先:〇〇スクエアビル 1階ピックアップロッカー
備考:今も同じで。
指先が刻みに震え始めた。
〇〇スクエアビルは、修司が勤める物流会社から徒歩で分ほどの所にある、真しいオフィスビルだった。階のエントランスには、非対面で荷物や品を受け取れる契約者用のスマートロッカーが並んでいる。
「これ……さんじゃないの?」
吉田さんが声を潜めて私の顔を覗き込んだ。
「でも、修司は会社にってないんです。同僚のが、今も無断で休んでるって……」
注文画面に表示された配達先の話番号に、すぐさま発信した。
コール音が回、回と空しく響くだけで、相がる気配はない。
私は震えるで、焼きがったばかりの鮭と姜焼きをプラスチック容器に詰めた。
ご飯の真んの梅干しを指で除き、焼き玉子をいつものように切れ、無理やり押し込むようにして蓋を閉めた。
配達を担当するアルバイトの学が、保温バッグを背負って原付でをてった。
彼が戻ってくるまでの分、私はの入りのガラス戸を睨みつけたまま、客への「いらっしゃいませ」の言葉すら喉に引っかかっててこなかった。
ガラリとドアがき、配達員が戻ってきた。
「どうだった!? 誰かいた?」
詰め寄る私に、男の子はし気圧されたようにずさりしながら言った。
「あ、いえ……指定されたロッカーに入れて番号を送信したんですけど、僕がビルのにてバイクに跨ったとき、ロッカーのランプが消えてました。もう暗証番号でけられて、は持っていかれたでしたよ」