"不妊扱いされたサレ妻と、91歳の秘密" 第11話
だが、私のトドメの撃は、それだけでは終わらなかった。
「ああ、それから、もうつ教えてあげるわ。さやかはね、私の『歳』の、今で歳よ」
「…………は?」
信弘のきが、完全に止まった。
「歳なんて嘘よ。結婚するに、親族の紹介できちんと齢も伝えたはずだけど、すっかり忘れていたのね? 代の若い奥さんをもらったって、職のみんなに自するんじゃなかったの?」
「…………!?」
信弘はを抱え、へと崩れ落ちるように倒れ込んだ。 代のピチピチした若い嫁という甘美なが、無残にも音をてて崩壊した瞬だった。 さやかは顔を真っ赤にして団駄を踏んだ。
「ちょっとお姉ちゃん! 余計なこと言わないでよぉ! さやかは気持ちだけは永の歳なんだからぁ!」
「さやか。もう何度も言っているけれど、を過ぎて自分のことを名で呼ぶのはやめなさい。痛々しすぎて聞いていられないわ。それから、しでも若く見せようとしてファンデーションをも塗りたくるのもの無駄よ。ほら、った拍子に顔の塗装にヒビが入ってるわよ」
さやかが慌てて両で顔を覆う。 塗りされたファンデーションが、汗と脂でヨレて無残な亀裂を作っていた。 にいつくばった信弘は、狂ったようにを爪で掻きむしり、呻き声をげた。
広告
「さやかちゃんが……代……!? 誰の種かも分からない子供を妊娠して……の男に当たり次第に……そんなの……そんなの、ただの最な女じゃないかぁぁぁッ!!」
「あんたがそれを言うの?」
私が底呆れ果てて突っ込みを入れた、まさにその瞬だった。 リビングの奥にあるの引き戸が—— スパーンッ!! と、鳴のような凄まじい破裂音をてて勢いよくけ放たれた。
砂煙がうかのような勢いでかれた襖のに、仁王ちしていた物。 信弘とさやかの線が、同にの暗がりへと吸い寄せられた。 そこにっていたのは、背筋をピンと伸ばし、髪を衝くような迫力で目をらせた——歳のおばあちゃんだった。
「信弘! 全部、残らず聞かせてもらったよ!」
をうような音のが、リビングの空気をビリビリと震わせた。 おばあちゃんはにしていた頑丈な樫のの杖をにドンと突きて、を睨みつけた。
「そこの棒猫も! 信弘の隣に並んで正座しな! みっちり説教してやる!」
「ば……ばあちゃん!? なんでここに……!? いつからいたんだよ!?」
腰を抜かした信弘が、ずさりしながら叫んだ。 おばあちゃんは杖を構え直すと、堂々たる取りでリビングへと踏み込んできた。
「何でも何も、ここは元々私の建てただよ! けい子さんから『信弘に呼びされた』と連絡をもらって、裏から急いで帰ってきて潜んでいたんだよ! 私が玄関から入ってきた気配にも気づかないなんて……このうつけの、馬鹿者がぁッ!」
広告
普段の縁側で見せるおっとりとした笑顔は完全に消えり、そこには何も荒波を乗り越え、勢の従業員を従えて農業法を切り盛りしてきた「凄腕経営者」としての圧倒な覇気が宿っていた。 さやかはその尋常ではない威圧にまれ、顔面蒼になってペタンと畳のに正座した。
「な、何この怖いおばあちゃん……! に帰ったら旦が訴えるって鳴り散らしてるし、の男たちは全員着信拒否で連絡つかないし、さやか、くところがないじゃん……! うっ、うわぁぁぁん!」
おばあちゃんにひと睨みされただけで、さやかは耐えきれずにシクシクと泣きした。 涙と汗によって、顔に塗りたくられたファンデーションとマスカラがドロドロと黒く溶け崩れ、見るも無残な化け物のような形相へと変わっていく。 私は腕を組み、え切った声で言い放った。
「助けなんて誰も来ないわよ。全部、自業自得じゃない。……ちなみに、当然のことだけど、私からも、あなたの本物の旦さんからも、に対してきっちり満額の慰謝料を請求させてもらうからね」
「ひっ……!?」
「さやかは何もの男性と貞為をねていたことがバレているんだから、賠償額もねがるわよ。借返済、精杯頑張りなさい」
さやかは恐怖に顔を引き攣らせ、正座したままガタガタと震えがった。