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"不妊扱いされたサレ妻と、91歳の秘密" 第10話

代半ばの男と女が繰り広げる、見るに堪えない茶番劇。 私は胃の底から湧きがる吐き気を押し殺し、腕を組んで淡な声を放った。

「さやか。そんなところで呑気にふざけた冗談を言っていていいわけ? あなたの、今頃変なことになっているんじゃないかしら?」

私の静かな問いかけに、さやかはピクリと眉をかした。

「はあ? まあ……変っちゃ変なことになってるけどぉ……」

「変でも何でもいいよ!」

信弘はさやかのを握り締め、待ちきれないといった様子でを乗りした。

「く荷物をまとめて、俺ので緒に暮らそう! 入籍はいつにする? く籍を入れないと赤ん坊がまれちまうし、何より職の連に『歳のピチピチしたい奥さんをもらった』ってく自したくてたまらないんだよ!」

「ふーん……まあ、さやかもそうしたいのは々なんだけどぉ……」

さやかはどこか歯切れが悪く、線を宙に彷徨わせている。 私はたい笑みを浮かべ、助け舟をすように促した。

「さやか、その『変なこと』を、具体に信弘に話してあげたらどうなの?」

私がすべてを察していることに気づいたのか、さやかはバツの悪そうな顔をしてを尖らせ、もじもじと指先を弄びながら喋りした。

「えっとぉ……なんかさやか、旦に『裁判で訴える』とか言われちゃっててぇ……」

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「……え?」

信弘のデレデレとした笑顔が、ピシリと固まった。

「旦……? 俺のことか? 俺はさやかちゃんを訴えたりしないよ? 若い子の過ちなら、何だって許しちゃうしさ!」

まだのにお畑が満に咲き乱れている信弘。 私はれむような差しを向け、真実の爆弾を投した。

「信弘、さやかの言う『旦』は、あなたのことじゃないわよ。さやかの、本物の旦さんのことよ」

「……は……? ほ、本物の……旦さん……!?」

信弘の顔から、完全に表が抜け落ちた。 信じられないものを見るような目でさやかを見つめる信弘。 さやかは唇を尖らせ、き直ったようにをくねらせた。

「だってぇ! さやか、旦と緒にずっと妊治療に通ってたんだけどぉ、痛い注射ばっかりで飽きちゃったんだもん! 子供ができるなら誰の種でもいいや〜ってっちゃってぇ、周りで当たり次第、声かけられる男の全員に『赤ちゃん作ろうよ』って言って回ったんだよねぇ!」

リビングを切り裂いたのは、あまりにも破滅で常軌を逸したカミングアウトだった。 信弘の顔から、血の気が瞬にして完全に引いていった。 肌は気を通り越して青くなり、いたからはヒューヒューと掠れた呼吸音だけが漏れている。

「ま、まさか……旦にづかれて興信所つけられるとはわなくてさぁ。ぶっちゃけ、お腹の子が誰の子かも分からないし、超最悪ぅ! 旦は『認もしないし、慰謝料請求して即婚だ』ってブチ切れてるからさぁ……もう、信弘君がこの子のパパってことでいいよね?」

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さやかのあまりに軽で勝な言葉の数々に、信弘は目を剥きそうになりながら、ガクガクと両膝を震わせた。

「は……え……? だ、誰の……子か、分からない……!? さ、さやかちゃんは……若くて、素直で、俺だけをしてくれて……だから俺は、けい子と婚までして……!」

信弘のアイデンティティが、音をてて々に砕け散っていく。 私はその無様な姿を見ろしながら、徹な追撃の言葉を浴びせかけた。

「そうよねぇ。それに信弘、さやかを妊娠させたから『自分の殖能には何の問題もない、俺は優秀だ』なんて偉そうに威張り散らしていたけれど、それも完全な勘違いみたいよ」

「は……!? ど、どういうことだ……!?」

「あなたが頑なに産婦科へくのを拒むから、私、をたにで専のクリニックにって、詳細なブライダルチェックを受けてきたのよ」

私はバッグから、クリニックの検査結果の類を取りし、テーブルのに広げた。

「私の卵巣も子宮もホルモン値も、妊娠に関して何つ異常も問題もないって太鼓判を押されたわ。……つまり、私たち夫婦のにも子供ができなかった本当の原因は、体誰にあったのかしらね?」

信弘の瞳が、絶望な恐怖に見かれた。 自分が「欠陥品」と罵り、見していた妻には何の問題もなく、原因は自分自の側にあったという残酷な現実。

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