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"不妊扱いされたサレ妻と、91歳の秘密" 第8話

だった。 あまりのしつこさに溜息をつき、私は通話ボタンをスワイプしてに当てた。

「……もしもし」

『おい、けい子! お、何回話させんだよ!』

受話器の向こうからびしてきたのは、いつもの傲で自信満々な声ではなかった。 どこか追い詰められ、声を震わせた、切迫した信弘の叫び声だった。

『おい! ばあちゃんをどこへやったんだ!? あの、おがてった直から、ばあちゃんまでにいないんだよ! おがどっかに連れして隠したんだろ!』

「聞きの悪い言いがかりはやめてよ。おばあちゃんはなのよ。自分のできたいところへくに決まっているでしょ」

『ボケ老なんだぞ! でどこかへけるわけねえだろ! いいから今すぐうちに帰ってこい! 変なことになってんだよ!』

方にまくしたて、パニックを起こしている様子の信弘。 断っても断っても喚き散らすその様子に、私はふと元を緩めた。 (……そう。おばあちゃん、計画通りにいてくれたのね) いずれにせよ、婚届の提や財産分与、慰謝料の請求も含めて、信弘とはいうちに直接決着をつけなければならないとっていたところだ。 向こうからをげて呼びしてくれるのなら、好都というものだった。

「分かったわ。今からそっちへくから、待っていなさい」

私は話を切り、荷物をまとめてホテルをにした。

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数ぶりに訪れた、かつてのが。 呼び鈴を鳴らすと、ほとんどを置かずに内側から鍵がガチャガチャとき、信弘が血相を変えてドアをけた。 目のには濃い隈が浮かび、無精髭が伸び放題になったその姿は、数までの傲な面をすっかり失っていた。

「おい、く入れ!」

信弘は私の腕を掴むようにしてのへと引っ張り込み、鍵を厳に閉めた。 リビングにを踏み入れると、部のは信じられないほど荒れ果てていた。 脱ぎ散らかされた、コンビニ弁当の空き殻、みかけのペットボトルが散乱し、埃がに溜まっている。私がをてから数しか経っていないというのに、事能力ゼロの信弘の活はくも破綻をきたしているようだった。 信弘は爪を噛みながら、リビングのを落ち着きなくウロウロと往復し、喚くように喋り始めた。

「聞いてくれよ、けい子! おがてったそのの昼頃から、ばあちゃんまで忽然と姿を消したんだよ! それだけならまだしも……次のから、とんでもないことが起きてんだ!」

「とんでもないこと?」

「ばあちゃんの友達の老軍団がさ! 朝から晩まで、ひっきりなしに代わる代わるこのに突撃してくるんだよ! 玄関のドアをドンドン叩かれて、にたら老たちに取り囲まれて、々に説教されるんだぞ! 『恩らずの者!』とか『の皮を被った!』とか言われてさあ!」

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信弘はを抱え、恐怖に怯えるように肩を竦めた。 私は腕を組み、ややかな線を投げかけた。

「そりゃあ、そうなるでしょうね。妻の実の妹と倫して子供を作った挙句、のから自分を育ててくれた歳の祖母を、介護ごと追いそうとしたんですもの。所のお寄りたちから見れば、言語断の親孝者だわ」

「だから! なんでばあちゃんの友達連が、そんな詳しいことまでってんだよ!? けい子、おが所に言いふらして回ったのか!?」

「私がそんな暇なことするわけないでしょ。をてからホテルで静かに過ごしていたわよ」

「じゃあ、体誰が喋ったんだよ!? ああもう、とにかくばあちゃんの居所だけでも教えろ! ばあちゃんをここに連れ戻して、あの老軍団に『もう突撃してくるな』って言言わせないと、俺がノイローゼで狂っちまうよ!」

部のをぐるぐると歩き回り、完全に切羽詰まった様子の信弘。 この男は、自分を育ててくれた祖母の本当の姿を、何つらなかったのだ。 私はく息を吐き、静かにをいた。

「おばあちゃんはね、別荘でゆっくり過ごすって言っていたわよ」

「……はあ!?」

信弘はピタリとを止め、信じられないものを見るような目を私に向けた。

「べ、別荘だあ!? 何を寝言言ってんだよ! あんな寄りに別荘なんてあるわけねえだろ! 半分がボケてて、じゃ何もできない老なんだぞ!?」

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