"不妊扱いされたサレ妻と、91歳の秘密" 第5話
そして、私の震える背に、温かく骨張った掌をそっと当ててくれた。
「けい子さん……丈夫かい? 息を吸ってごらん」
「おばあちゃん……っ……」
掌から伝わってくる温もりに、私の目からボロボロと粒の涙が零れ落ちた。 おばあちゃんを「ボケ老」と罵り、監しろと私をに縛り付け、介護の負担をすべて押し付けておきながら。 自分は「仕事だ」「残業だ」と嘘百を並べて、昼堂々、私の実の妹とホテルで事に耽っていたのだ。 あまりの卑劣さ、あまりの冒涜に、私の全をる震えとりは留まることをらなかった。 (許さない……絶対に、許さない……!) 私は涙を袖で乱暴に拭いり、握りしめたスマートフォンの画面を暗転させた。 齢のおばあちゃんにこれ以配をかけるわけにはいかない。 今夜、あの男が帰宅したら、すべてを突きつけて黒つけてやる。 私はたい炎を胸に宿し、夜の訪れをじっと待つ決を固めたのだった。
夜を回った頃。 玄関の鍵がガチャリとき、乱暴に靴を脱ぎ捨てる音が響いた。 「ふぅー、ったった」という抜けな独り言と共に、信弘がネクタイを緩め、赤ら顔で嫌そうにリビングへと入ってきた。
「ああ疲れた! 取引先の役連との接待がなっちゃってさ、級料亭で酒をまされるのも楽じゃないんだよ。
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……あ、そうか。のでダラダラ過ごしてるだけの専業主婦には、で働く男の苦労なんて共できないよな!」
帰宅するなり、いつものように私を見す嫌を平然と言い放つ信弘。 私はダイニングテーブルの席に腰をろしたまま、微だにせず、たい線で夫の顔を見据えていた。元には、画面を伏せたスマートフォンが置かれている。 私は静かに、しかしく通る声でをいた。
「信弘。ちょっとそこに座って」
「あ? なんだよ改まって。疲れて帰ってきた夫に対して、まず『お呂にしますか、ご飯にしますか』って労うのが嫁の務めだろ。本当に気の利かない、できない嫁だなあ」
まさか自分が問い詰められるにあるとはにもっていない信弘は、を鳴らしながらリビングの子を乱暴に引き、私の正面に偉そうに腰掛けた。 腕を組み、ふんぞり返りながら私を見ろしてくる。
「で? 何? また何か事でヘマでもして、俺に謝りたいわけ?」
「……謝るべきなのは、そっちなんじゃないの?」
私の静かな返答に、信弘は馬鹿にしたようにで笑った。
「はあ!? なんで俺がおに謝らなきゃいけないんだよ! 俺は今、汗垂らして会社のために働いてきたんだぞ! 疲れて帰ってきた夫を捕まえて、何なんだその態度は? お、として終わってんじゃないのか?」
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々しく並べてられる欺瞞の言葉。 私は両を膝ので固く握りしめ、震える呼気を吸い込んだ。声がりで裏返りそうになるのを必に制し、努めて静に言葉を紡ぐ。
「……信弘、今の昼、どこにいたの?」
「どこにいたって、仕事で回りに決まってんだろ! 客先だよ、客先!」
「そう。汗垂らして、客先で懸命お仕事をしていたわけね」
私は伏せてあったスマートフォンをに取り、画面のロックを解除した。 そして、昼に友から送られてきたあの鮮な写真を画面いっぱいに表示させると、テーブルを滑らせるようにして信弘の目のへとピタリと突きつけた。
「じゃあ……この写真は、体何なの?」
「あ……?」
信弘は怪訝そうに眉を寄せ、テーブルののスマートフォンを覗き込んだ。 次の瞬。 彼の顔に張り付いていた傲な笑みが、まるで氷が急速に凍りつくように、ピシリと音をてて直した。 目が見かれ、顎がガクリとがり、肌から急速に血の気が引いていくのが見て取れた。
「ま……これ……けい子、お……なんで……」
ラブホテルので、腕を絡ませて歩く信弘と、私の妹のさやか。 そして、ホテルの入へとで消えていくろ姿。 言い逃れの切を許さない、完璧な証拠だった。 私は凍てつくような差しで、絶句する夫を真正面から射抜いた。
「私がおばあちゃんとにいるから、絶対にバレないとでもった? ……信じられない。
よくも、妻の実の妹にをせたものね。