みかん小説
本棚

"不妊扱いされたサレ妻と、91歳の秘密" 第4話

「俺の言ったことに素直に『はい』って言えないのかよ! 答えするな!」

信弘はそう鳴りつけると、あからさまに横を向き、スマートフォンの画面を指先で激しくスクロールし始めた。 独代、彼の引なまでのリーダーシップや自信に満ちた態度に惹かれて結婚を決めたはずだった。しかし、庭という閉ざされた空ので、その性質はただの横暴で幼稚な支配欲へと変貌し、々酷さを増している。 それにしても、今更なぜこれほどまでに「子供」の話題に固執するのか。そして、先ほど彼が漏らした「姉妹」という言葉。 胸の奥にたい棘がチクリと突き刺さるような、得体のれない胸騒ぎが広がっていた。 何か、私のらない恐ろしい事態が面でいているのではないか。 そのは、数も経たないうちに、最悪の現実となって私のに突きつけられることとなる。

数の平、空は抜けるような青空に恵まれていた。 陽が柔らかく注ぐで、私は取り込んだばかりの洗濯物を枚ずつ丁寧に畳んでいた。 テレビからは昼がりのワイドショーの穏やかな音声が流れ、その横の座布団のでは、おばあちゃんが両で温かい湯呑みを包み込みながら、静かにお茶を啜っている。

「おばあちゃん、今は本当にお気が良くて気持ちがいいですね」

広告

私が声をかけると、おばあちゃんはゆっくりとこちらに顔を向け、目尻にい皺を刻んでニコリと頷いた。

「そうだねぇ、けい子さん。空が青くて、お様が本当に温かいよ」

いつもと変わらない、静かで平穏な昼がり。 洗濯物をすべて畳み終え、掃除もかけ終えた私は、ふうと息をついてちがろうとした。 その、エプロンのポケットに入れていたスマートフォンが、刻みにく震えた。 メッセージの受信音が、て続けに度、度と鳴り響く。 こんな昼がりに誰からだろうと画面を見ると、送り主は学代からの親しい友からだった。 メッセージの文面をいた瞬、私の目にび込んできたのは、尋常ではない慌てぶりを示す文字列だった。

『けい子、落ち着いて聞いて。今、仕事のに駅のくのにこうとしたら、信弘さんを見かけたの。でも、なんか様子がおかしくて……応、写真を撮ったから送るね』

(信弘……? 今は朝から「事な取引先との商談があるから定では帰れない」って言って、スーツを着ててったはずだけど……) なぜそんな繁華のくを歩いているのだろう。 添付されていた画像データをタップしてき、画面をピンチアウトして拡した。 その瞬、私の全から気に血の気が引いていった。 臓がドクンと嫌な音をててねがり、呼吸の仕方を忘れたように喉が詰まる。

広告

「……え……? 嘘……でしょ……?」

写真のに写っていたのは、紛れもなく私の夫・信弘だった。 だが、問題はその所と、連れ添っている相だった。 信弘が歩いていたのは、ビジネスなどではない。駅の裏に位置する、ネオンサインがち並ぶラブホテルのだった。 そして、信弘の腕にこれ以ないほどぴったりとしなだれかかり、甘えるように顔を寄せて目遣いで歩いている若い女。 めのスカートからい脚を覗かせ、派な巻き髪を揺らして歩くその女の顔を拡した瞬、私はにしたスマートフォンをに落としそうになった。

さやか。 私の、実の妹だった。

画面を凝する私の指先が、ガタガタと制御できないほど震え始める。 続いて、友から枚目の写真が送られてきた。 そこには、ホテルの自ドアをくぐり、信弘がさやかの腰にを回しながらへと消えていく、決定な瞬がはっきりと収められていた。

「嘘……なんで……よりによって、さやかにをしたの……!?」

信じられない。気持ち悪い。おぞましい。 吐き気を伴う激しい悪寒が背筋を駆けがり、私は膝から崩れ落ちるように畳のにをついた。胃液が喉元まで逆流してくるような覚に襲われ、胸を押さえて荒い息を繰り返す。 すると、私の異変に気づいたおばあちゃんが、テレビの画面からゆっくりと線をし、ちがって私のそばへと歩み寄ってきた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: