"不妊扱いされたサレ妻と、91歳の秘密" 第3話
方の信弘はといえば、朝の過ぎにようやく起きてきてからというもの、スウェット姿のままソファのに仰向けに寝そべり、スマートフォンを片にテレビのバラエティ番組を眺めてダラダラと過ごしていた。 「休みのは体を休めるのがの黒柱の義務だ」と豪語し、お茶の杯すら自分で淹れようとしない。 私が乾いた洗濯物のを抱えてリビングを横切ろうとした、その瞬だった。 信弘がテレビのリモコンを放りし、わざとらしいほどきな溜息を吐きながら、井に向かって声を張りげた。
「あーあ! やっぱり子供ってのはいいよなァ! 若い嫁に産んでもらう、ピチピチしたい赤ん坊! あーあ、羨ましいこった!」
そのわざとらしく響き渡る声に、私のがピタリと止まった。 抱えていたタオルのが、腕のでく沈む。 私たち夫婦には、結婚してが経つというのに子供がいない。 私自、子供が欲しいという気持ちはずっと持っていた。だが、夫婦で本格な妊治療に取り組んだことは度もなかった。どちらの体に原因があるのか、専の医療関で検査を受けたことすら度もない。 にもかかわらず、信弘は私が産婦科での検査を提案するたびに、激しい拒絶反応を示してきたのだ。
「何よ、急にそんなきな声をして……」
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私が洗濯物を抱え直して眉根を寄せると、信弘はソファので寝返りを打ち、嘲るような線をこちらへ向けた。
「いや別に? 俺も今で歳だろ。同代の会社の同僚なんかはさ、もう子供が学になって運会で活躍してたりするわけよ。そういう父親やってる連を見てると、キラキラしてて眩しいんだよな。それに比べて、うちはどうだ? のには老いぼれた寄りと、増の女が。も希望もありゃしない」
リビングを忙しなくき来する私の努力などにも介さず、寝そべったまま投げつけられる嫌の数々。 私の胸ので、苛ちがフツフツとを帯びていく。
「だから……あれほど緒に産婦科にこうって、何度も言ったじゃない。私の齢だって今で歳よ。今からしっかり検査を受けて治療を始めれば、まだ分ににうって。来週の曜に予約を取ろうかって話も——」
「嫌だよ!」
信弘は即座に、吐き捨てるように私の言葉を遮った。
「誰が産婦科なんかにくかよ! いいか、『産婦科』だぞ? 名に『婦』ってついてる以、女だけがけばいい所に決まってんだろ! 俺の体勢に問題があるわけないだろ。どうせ子供ができないのは、けい子の側に原因があるに決まってるんだ。俺をそんな恥ずかしい所に巻き込むなよ。
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これだから無駄にだけった女は困るんだ」
その信じがたい暴論に、私の界がりでく染まりかけた。
「今は本当に何なの!? 齢のことばかり言うけれど、信弘の方が私より歳もじゃない! それに、今の代、妊の検査を夫婦揃って受けるなんて当たりの常識よ。どちらか方だけの問題じゃないかもしれないって——」
「あー、うるさい! もういいから黙れ!」
信弘はを塞ぐような仕をして起きがり、苛たしげに髪を掻きむしった。 そして、吐き捨てるように呟いたのだ。
「……まったく、姉妹でこうも違うもんかね」
「……は? 姉妹?」
信弘のから滑りたその単語に、私はわず目を見張り、聞き返した。 私の実には、確かに妹がいる。だが、なぜ今ここで「姉妹」という言葉がてくるのか。 私の問いかけに、信弘はハッと息を呑み、自らの失言に気づいたようにあからさまに目を泳がせた。その頬が微かに引き攣り、狼狽を隠すように急激に声を荒らげる。
「な、何でもないよ! ほら、洗濯物畳み終わったら、さっさとばあちゃんを散歩に連れてけよ! 寄りは無理にでも腰かさせなきゃ、あっというに寝たきりになっちまうんだからな! けい子も休みのだからってのでダラダラするなよ! 世のの妊婦や子持ちの母親はな、百、休みなんて秒もないんだからな!」
「だから、なんでさっきから子供の話ばかり持ちすのよ……」