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"不妊扱いされたサレ妻と、91歳の秘密" 第2話

階段のりりもすりを使わずに軽々とこなし、も目も達者そのものだった。 それなのに信弘は、おばあちゃんがしでも自分のい通りにかないと、すぐに「ボケた」「厄介者だ」と決めつけ、私にその監役と介護のすべてを押し付けていたのだ。

朝のが暗い台所に差し込む、私はちる噌汁の湯気に向かってお玉をかしていた。 リビングの引き戸がガラリとき、洗面所からてきた信弘が、首にタオルを引っ掛けながらあくびを噛み殺して入ってくる。

「おい、けい子。飯はまだかよ。くしないと会社に遅れるだろ」

「おはよう、信弘。今お噌汁を注ぐところだから、席に座って待ってて」

私が朝の鉢をテーブルに並べようとした、そのだった。 玄関のい引き戸がガラガラと勢いよくき、からバタバタと威勢のいい音が響いてきた。 信弘が眉をひそめて玄関の方へと振り返る。 そこにっていたのは、に柄の角巾を巻き、靴を履いたおばあちゃんだった。腕のには、がついたばかりの巨な根と、まみれの太いネギ、青々とした見事な菜がのように抱えられていた。 今朝、目を覚ましたにはすでに寝におらず、所の散歩にでもかけたのかとっていたのだが、まさかこれほど量のつき野菜を抱えて戻ってくるとはにもわなかった。

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信弘は目を丸くしてちがり、喉を破らんばかりの声で鳴り散らした。

「うわっ、汚ねえな! おいばあちゃん、その野菜、体どっから引っこ抜いて持ってきたんだよ!? の畑からの窃盗か!? おい、が玄関に落ちてるだろ! まったく、ボケ老なら警察に捕まっても目に見て許してもらえるとでもってんのか!?」

玄関先で両を広げて騒ぎする夫の姿に、私は急いで台所から駆け寄り、信弘のにってその肩を軽く押さえた。

「信弘、朝からそんな声で騒がないでよ。所に聞こえちゃうじゃない。おばあちゃん、このお野菜は……」

私が尋ねようとするのを遮り、信弘は舌打ちをして私の肩を乱暴に突きばした。

「けい子! おがしっかり見張ってないからこんなことになるんだろ! 専業主婦のくせに、朝飯の支度にかまけて寄りのきつ把握できないのかよ! 嫁は嫁らしく、ボケ老の介護をしっかりやれっていつも言ってるだろ!」

信弘は結婚して以、を追うごとに私に対する態度が目に見えて傲になっていった。 いわゆる典型な亭主関、あるいは庭内での独裁者気取りだ。何でも自分のい通りにならなければ気が済まず、しでもに沿わないことがあれば、すべて私の管理や努力のせいにして鳴り散らす。

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「とにかく俺はで稼いでくる仕事があるんだからな! おはにいるんだから、しっかりばあちゃんを見張って、世話しとけよ! 分かったな!」

信弘は玄関の靴べらを乱暴に元の位置へ投げ戻し、扉を割れんばかりの音をててバタンと閉め、勤していった。 たいが玄関に吹き抜ける、残された私とおばあちゃん。 おばあちゃんは腕いっぱいの野菜をにそっとろすと、拭いで額の汗を拭い、私に向かってニコニコと呑気な笑顔を浮かべた。

「けい子さんも、朝から変ねぇ」

「……いえ、それほどでもないですよ」

実の孫から棒呼ばわりされ、ボケ老と罵られても、まるでを受け流す柳のように柔らかく笑っているおばあちゃん。 私はその呑気で底れない笑顔を見つめながら、乱れた呼吸をえ、さく息を吐いた。

「おばあちゃん、とりあえず靴を脱いでがってください。今のお昼は、この美しそうなネギでおうどんでも作りましょうか」

「まあ、嬉しいねぇ。楽しみにしてるよ」

おばあちゃんは何事もなかったかのように履に履き替え、廊を軽やかに歩いていった。その背を見送りながら、私は言いれぬ胸のざわめきを覚えていた。

週末の昼がり。 リビングには、窓から差し込むかな差しが広がっていた。 私は朝の片付けを終えた、溜まっていた週分のシーツやバスタオルを洗濯に放り込み、掃除をかけ、おばあちゃんの部の障子の桟を拭き、洗面台の鏡を磨くといった、名もなき無数の事に追われて朝から休むもなくき回っていた。

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