"四枚の余った名札" 第9話
ドア越しの者面談
「嘘をつくつもりがない嘘……?」
乾いた言葉が、私の喉からこぼれ落ちた。
りよりも先に、胸の真んをたい鉄の棒で突かれたような鈍い痛みがった。
「結、私はあなたを騙そうとしたことなんて、度だってないわよ。毎のおだって、塾代だって、全部私がどれだけをげて稼いできたとってるの? それを『嘘つき』だなんて、あんまりじゃない!」
結は何も言い返さなかった。
ただ、めた目で私を度だけ見据えると、背を向け、自分の部へと歩きした。
バタン、と乱暴にドアが閉まり、髪を入れずに鍵が回る音が響いた。
「結! けなさい!」
私はドアノブにをかけ、激しく揺すった。
ガチャガチャと属音が廊に霊する。普段なら絶対にしない、理性を失った母親のみっともない姿だった。
「ちゃんと話しなさい! 者面談のプリントをしなさいって言ってるの! 親のサインがなきゃ、あなたのが決まらないのよ!」
ドアの向こうからは、擦れの音すら聞こえなかった。
私はドアに額を押し当て、荒い息を吐いた。製のい扉枚を隔てているだけなのに、まるでいの向こうに娘がいるようだった。
「……なんで隠すのよ」
声の震えを抑えられなかった。
「教えさえしてくれれば、今回は絶対にくって言ってるじゃない。
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仕事を調して、何があってもそのには学に着くようにするから。お願いだから、類を見せて」
い沈黙が流れた。
静まり返った廊に、計の秒針の音だけが響く。
もう返事はないのかと諦めかけたその、ドアの向こうから、く抑えられた声が漏れ聞こえてきた。
「……教えたら、また待たなきゃいけないじゃん」
私のきが止まった。
「結……?」
「お母さんに教えたらさ、私、また朝からそわそわして、ずっと計見なきゃいけなくなるんだよ」
ドア越しに伝わってくる声は、泣いてはいなかった。けれど、擦り切れた布のように痛々しかった。
「午の面談まで、授業もずっとスマホのバイブが鳴らないか気にして、誰かの音が廊を通るたびに『お母さんかな』ってを乗りして……。それで結局、面談の分に『急な会議で遅れる』ってメッセージが来て、私、またで教に入らなきゃいけないんでしょ?」
私の喉が、完全に塞がれた。
「待つのが、番しんどいんだよ」
結の息を呑む音が、ドアの隙からかすかに漏れた。
「最初から『来ない』って分かってれば、何も期待しないで済むの。先にも『母は仕事です』って最初から言えるの。……お母さんを待つがいちばん惨めなの。だから、頼むからもう来ないで」
カチャリと音がして、ドアの元にある郵便受けのようなさなスリットから、つ折りにされたプリントが滑りてきた。
担任の佐藤教諭が配った、希望調査票だった。
保護者記入欄は真っなまま、結の指紋で端がし波打っていた。
私は廊に崩れ落ちるように膝をつき、そのたいを拾いげた。
反論の言葉は、私のの引きしのどこを探しても、見つからなかった。