"120億円の契約を取った帰りにクビになった" 第3話
せいぜい見せてもらおう。
窓のに、見慣れた層ビルの輪郭が見えてきた。
列は品川に到着しようとしていた。
私はに落ちたくずを拾い集めた。
それらを鞄の奥に押し込んだ。
列のドアがく音がした。
私は鞄を持ち、1歩ずつホームへりった。
改札を抜けたところで、鞄ののスマホがせわしなく鳴り始めた。
画面を見ると、社の久正男の名が表示されていた。
私はち止まった。
通話ボタンを押して、に当てた。
私が何か言うより先に、スマホからりを抑えたような声がんできた。
「瀬、今どこだ?」
「野会から直接話があった。うちの案件管理システムで技術承認が保留になっているのはどういうことかと聞かれた」
「120億の案件だぞ。向こうは設備資の当てまで済ませている」
「おは何をやってるんだ?引き渡しはどこまでんでる?」
私はの流れを避けて、通脇の太い柱の横に移してった。
自分でも驚くほど、私の声は平らだった。
「社、その件は私に聞くことではありません」
「社の部の黒川専務と、事の相沢部に聞いてください」
話の向こうで、久は瞬黙り込んだ。
眉をひそめたのが、話越しにもはっきりと分かった。
「どういうだ?」
「案件はおが最初から最まで仕切ってきたんだろう。
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あの2に何の関係がある?」
私は事実だけをく語った。
「30分ほど、帰りの幹線で事部から解雇通のメールを受け取りました」
「相沢部の話では、私は張に旅費を増しして、適切な接待をしたそうです」
「方に解雇されて、社内システムのアカウントまで隔でロックされました」
「私はもう会社のではありません」
「会社を代表して、野会と最終の引き渡しをするわけにはいきませんよね」
話の向こうが、しばらく静かになった。
息を呑む気配だけが伝わってきた。
久は何もらなかったのだ。
黒川と相沢が、社の越しに勝にいた話だった。
久がりを押し殺したようない声をした。
「バカな」
「張の接待準の特別承認は、俺と黒川が並んで判を押したものだ。何が適切な接待だ」
久の声に焦りが混じり始めた。
「瀬、謝るな。何かの誤解がある」
「今すぐ会社に戻れ。顔をわせてはっきりさせる」
私は壁を見つめたまま、たく返した。
「誤解ですか?」
「社。メールには会社の正式な処分としてハンコを押されています」
「相沢部のLINEにもそういてあります」
「誤解かどうか、これから本社にって皆さんので確かめます」
私はそう言い残し、通話を終した。
そのまま駅のへ向かい、タクシー乗りの列に並んだ。
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やってきたタクシーに乗り込むと、運転に本社ビルの名を告げた。
20分、私は本社ビルの最階に到着した。
な社のドアのにち、ノブを回して気にけた。
の空気は、ひどくく沈んでいた。
久社は顔を青黒くして、理のデスクの向こう側に座っていた。
その傍らに、黒川専務と相沢部がっている。
2の表は、それぞれ対照だった。
相沢の顔には、まだ引っ込めきれていない得げなが残っていた。
方、黒川は落ち着きなく目を泳がせていた。
社が急にをしてくるとは、予していなかったのだろう。
私が入ってくるのを見ると、相沢が歩にてをいた。
いかにも規則通りに対処しているという、偉そうな顔だった。
「瀬さん、ここは社です。あなたは既に解雇されています」
「規定、枢フロアへの入りは認められません」
「続きのことなら、事部で担当者と話してください」
私は相沢の方を全く見なかった。
線をに向けたまま、まっすぐデスクのまで歩いた。
元の鞄をけた。
を逆さにして、容赦なく振り落とした。
細かく裂かれたくずが、理のテーブルのにバラバラと音をてて落ちた。
の切れ端に、赤い社印と私の署名が覗いていた。
それを見た相沢の顔が、さっと青く変わった。
相沢は慌てたような声をした。
「瀬さん、何をしてるんですか?」
「契約破ったんですか?会社の資産を損害したら、法責任を問われるんですよ」