"今回は、探さない" 第11話
テーブルに置かれたA4用
翌の午、スマートフォンの画面がく震えた。
佐野からのメッセージだった。
『麻ちゃん、例の法営業の枠、社内システムでの応募締め切りがのになった。事から催促が来てる。本当に達也さんの履歴、さなくていいの? システムがロックされたら、俺の権限でも度とねじ込めないよ』
画面に表示された文字を、私はじっと見つめた。
収百万から百万。
通信系列の定した経営基盤。
これまでの達也の経験をそのまま活かせる、完璧なポスト。
あととし。
私が「お願い」と返信して、達也の経歴を添付するだけで、がの危は終わる。
にアルバイトをさせる必も、達也が湿布だらけの体でを歩く必もなくなる。
私はく息を吸い、社内のプリンターに向かった。
いたのは、佐野が送ってきた社内推薦用のルートではない。
その企業の公式サイトにある、『般公募・途採用エントリーページ』だった。
募集項、求める材像、業務内容、そしてWEBエントリーの受付フォーム。
全ページにわたるその募集項を、私は枚のA4用に縮印刷した。
その夜、達也が帰宅したのはだった。
玄関のドアをけた夫は、を引きずっていたが、その顔には議な充実があった。
広告
「今、初めて件、話を聞いてもらえた」
洗面所でを洗いながら、達也が言った。
「ネット回線の乗り換えだ。築のアパートのさんでさ。最初は払いだったんだが、ポストのチラシを拾って読んでくれてたらしくてな。玄関先で分、腰据えて話を聞いた。来週、見積もりを持っていく」
「……そう」
「たった件だ。インセンティブなんて雀の涙だよ。でもな、麻。会社の板じゃなくて、俺の言葉を相が聞いてくれたんだ」
達也がリビングに入り、子に腰をろした。
その線の先に、私がテーブルの央に置いた枚のがあった。
達也は首を傾げ、そのをに取った。
見しを読んだ瞬、夫の目がきく見かれた。
「これ……佐野の会社か?」
「般公募の項よ。の夕方が締め切り」
達也のが止まった。
条件の欄に記載された『定収百万〜百万』という数字を、彼の線が何度も往復した。
乾いた喉が、ゴクリと音をてて鳴るのが聞こえた。