"今回は、探さない" 第5話
割の提示とプライド
カレンダーの数字が枚目に移った。
失業当の続きは済んだものの、座に実際に振り込まれるまでにはがかかる。
毎朝、洗面所の鏡に向かってネクタイを締める達也の背は、を追うごとにさくなっているように見えた。
達也はこの週で、つの面接に漕ぎ着けていた。
歳の再就職としては、類が通っただけでも悪くない滑りしのはずだった。
けれど、帰宅した夫が玄関に脱ぎ捨てる靴の向きは、を追うごとに乱れていった。
最初の会社は、急成のIT企業だった。
夕の席で、達也はめた噌汁をすすりながら、吐き捨てるように言った。
「話にならんよ。面接官が代半の若造だったんだが、番『うちはフラットな組織なので、管理しかできない元課は求めていません』だとさ。営業やってきたに向かって、実績のもろくに聞かずにそれだ。失礼にも程がある」
私は黙って頷き、何も言わなかった。
彼らが求めていたのは「過の肩き」ではなく、「からで何件のアポを取れるか」だったのだろう。
達也が持ち込んだ経歴は、どれだけ言葉を飾っても「指示をす側の」の匂いが消えていなかったのだ。
社目は、械部品を扱う老舗の商社だった。
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業種としては達也の経験に最もく、面接の応えも悪くなかったらしい。
だが、内定と同に提示された条件を見て、達也は自ら辞退の連絡を入れた。
「収、百万だとさ」
リビングのソファにく沈み込み、達也は乾いた声で笑った。
「の会社の割だぞ。ボーナスも寸志程度。俺のを何だとってるんだ。そんな端で、毎の宅ローンと子どもの学費が払えるわけがないだろ。元を見られたもんだ」
「……でも、正社員としての採用だったんでしょ?」
私が控えめに問いかけると、達也は鋭い線を向けてきた。
「麻、おは俺に、の半分くの料でをげて働けって言うのか? そんな惨めないをしてまで受ける話じゃない。俺にはまだ価値があるはずだ。妥協したら終わりなんだよ」
そして社目。
宅設備メーカーの営業所だった。
採用の向は示されたものの、条件は過酷だった。
役職なし。固定は最限で、完全なインセンティブ制。
何より達也を苛たせたのは、業務内容だった。
「代半の卒と緒に、び込みで戸建て宅を回れって言われたんだ」
達也のが、握りしめた缶ビールを軋ませた。
「カタログの入ったい袋を抱えて、百件チャイムを押すんだとさ。俺の歳でだぞ。周りの社員はみんな俺の息子みたいな齢だ。
そんなところでペコペコをげて、チラシ配りから始められるかよ」
「仕事に、ももないんじゃないの」
私の言葉に、達也はカッと目を見いた。
「あるに決まってるだろ! 俺はな、課として何もの部をかしてきたんだ! それを今さら、入社員と同じを啜れっていうのか?! おは事だからそんな呑気なことが言えるんだ!」
声がリビングに響き渡り、空気がピシリと凍りついた。
達也が守ろうとしているのは、活ではなかった。
「かつて課だった自分」という、のない張り子の虎だった。