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"七年の指輪を外す夜" 第19話

「もう、あなたに私のすべてを話す必性を、じなくなったからよ」

琢磨の頬が、刻みに引き攣った。

「……創業期の投資も、あの危を救ったの融資も……全部、君が裏でを引いていたのか?」

「違うわ」 咲は即座に、きっぱりと首を横に振った。

「私がしたのは、くはずのなかったい扉のノブに、ほんのしだけ指を添えてあげたことだけよ。その扉をけてに入り、事業計画をプレゼンして契約を勝ち取ってきたのは、あなたたち自の努力よ。……自分の成功のすべてを私のせいにしないで。それと同じように、あなた自の失敗のすべてを、さんのせいにもしないで」

琢磨は言葉を失い、ち尽くした。

「あなたが違えたのはね、琢磨」 咲の声は、どこまでも穏やかで、それゆえに絶望な断絶を告げていた。 「私が神の娘だと気づかなかったことじゃないわ。……いつからか、目のにいる私というが、本当はどんなで、何を考え、何をじてきているのかを、まったくろうとしなくなったことよ」

そこへ、背から気よい靴音がづいてきた。 現れたのは、条商事の執役員・条礼司だった。彼もまた、今回の共同投資プロジェクトのパートナーとしてこの説会に席していたのだ。

「咲、次の投資戦略会議のだ。役員がで待っている」

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「ええ、今くわ」

礼司の静かな声に頷き、咲が歩きそうとする。 琢磨の線が、咲と礼司のを激しくき来した。彼の顔に、焦燥と嫉妬が醜く滲みる。

「……は、今、どういう関係なんだ?」

咲はを止め、振り返ることなく、首をわずかに横に振った。

「あなたがので像しているほど、っぽい話じゃないわよ。……私はただ、自分自の本来の活に戻っただけ」

それだけを言い残し、彼女は礼司の隣に並び、度も振り返ることなく理の廊の向こうへとっていった。

それからの半、私にとって相沢琢磨のことをいすは、のうちに分すら残されていなかった。 父から課された赤字事業の再編は、私の予を遥かに超えて過酷を極めていたからだ。

改革に着してヶ目、最の売比率を占めていた顧客の社が、社内方針の変更を理由に、実証実験からの突然の撤退を通告してきた。 事業部の空気は気に氷点までえ込み、チーム内には「やはり、もブランクのあった会令嬢のお遊びに付きわされただけだったのか」という絶望と信が渦巻いた。

私自、激しいプレッシャーので胃を痛め、夜に何度も目を覚ました。 父の言う通りだったのかもしれない。私の実力など、神の名という温のでしか通用しない、ちっぽけなに過ぎなかったのではないか――。

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そんなある夜。 計の針が午を回った頃、私は誰もいなくなった執務フロアの会議で、で膨な顧客ヒアリングシートと契約を突きわせ、を抱えていた。 デスクのに置かれたスマートフォンが、く震えた。 画面を見ると、条礼司からのメッセージだった。

『夕飯はったか』 『まだ。オフィスにいる』 『今、ビルのだ。りてこれるか』 『ごめん、今にこの契約の穴を見つけなきゃいけないの。無理』

送信して分。 会議のいドアが静かにき、袋を提げた礼司が、何わぬ顔で入ってきた。 彼は「無理するな」とも「よく頑張っている」とも言わなかった。 私の向かい側の子をガラガラと引き、コンビニの温かいスープとおにぎりを机のに置くと、私が睨みつけていた契約と仕様の束を、無造作に元へ引き寄せた。

「……顧客が抜ける本当の理由は、何だ」

私は、乾いた喉を湿らせながら答えた。 「先方は『現の運用にわない』って言ってる。でも、能には競より優れているはずなの。何が満なのかが分からない」

礼司は、眉にい皺を刻みながら、分、無言で類の条項を読み込んだ。 そして、差し指で契約の第条をトン、と叩いた。

「これ、システムの問題じゃないぞ」 「……え?」 「相の社内統制(内部監査)の承認フローが変わったんだ。

この契約形態だと、相の購買部は『役員会の個別決議』を通さなきゃ決済できないて付けになっている。

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