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"七年の指輪を外す夜" 第17話

「どうして……どうして今まで、度も俺に言わなかった! おはずっと、自分の脈と交渉力だけであの融資を勝ち取ったかのように、俺ので振るっていたじゃないか!」

希は、ややかな線を琢磨に向けた。

「相沢社。……あなた、私に度でも尋ねましたか? 『誰が拓したルートなんだ』と」

琢磨の呼吸が止まった。

「私は、自分が拓したなどと嘘をついたことは度もありません。最初のい扉をこじけたのは、違いなく咲さんでした。でも、の厳しい審査をパスさせるために何枚もの追加資料を作成し、担当部署へ参して交渉をまとめげたのは、私と私のチームです。……私は、あの融資の成功が、すべて咲さんの柄だとは今でもっていません」

希の反論は、あまりにも理然としていて、片の隙もなかった。 彼女は、の柄を横取りするような卑劣な棒ではなかった。ただ、目のの男が自尊に溺れ、自分に都のいいように事実を誤認しているのを、あえて訂正しなかっただけなのだ。

希は、怜悧な瞳で琢磨を見据えたまま、酷な問いを突きつけた。

「……相沢社。今、あなたがそれほどまでに取り乱してっていらっしゃるのは、私が真実を黙っていたからですか? それとも……あなたが『何も分からない無な女』だと見していた咲さんが、実は最初から、あなたより遥かにい所から世界を見ていただったとって、ご自のちっぽけなプライドが々に砕かれたからですか?」

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「なっ……!?」

「あなたは私に向かって、『君だけが僕の仕事を真に理解してくれるパートナーだ』とおっしゃいました。……でも、本当にこの会社のビジネスの本質を最初から理解し、あなたの致命な破滅をで防ぎ続けていたのは、咲さんの方だったのではないですか? 彼女は、途からあなたに見するのをやめただけです」

希は、嘲るように微かに息を吐いた。

「相沢社。どうして彼女が、あなたに対して何も言わなくなったのか……その理由を、度でも真剣に考えたことがありますか?」

琢磨は、子に崩れ落ちるように座り込み、何も言い返すことができなかった。

そのの夜。 琢磨は、自分の単独名義に変更されたばかりの目黒のマンションへと、逃げるように戻った。 部の広さは、昨までと何つ変わっていなかった。 だが、咲の私物が完全に消えったリビングは、まるで廃墟のようにええとしており、自分の靴音すら障りに響いた。

彼は、斎の押し入れの奥から、創業期に使っていた古いノートパソコンと、埃をかぶったのファイルを引きずりした。 そこには、に彼が初めていた、アスターリンクの最初の事業計画の原稿が残されていた。

黄ばんだコピー用を枚ずつめくっていく。 ページの余、との隙に、細く鋭い、見慣れた鉛の跡が、びっしりとき込まれていた。

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『※最クライアントの入サイトが60遅延した、当の運転資ショート確率:85%。急にセカンドソースの確保が必』 『※仕入れ先の価格決定権がすぎる。独占供契約の条項をし、最でも競社からの相見積もりを義務付けること』 『※ベストケースの売予測を基本計画に据えてはならない。最も観なシナリオで損益分岐点を再計算すること』

琢磨は、震える指先でその文字をなぞった。 になって、会社の命運を分ける危を救ってくれた数々の正しい経営判断。 その判断の起点となった最初のリスク指摘を、体誰が自分に授けてくれたのか。 彼は、そのすべてをすっかり忘れっていたのだ。 『自分が壇で才なひらめきを発揮した』『自分が優れたリーダーだから、危を乗り越えられたのだ』と、すべてを自分の柄として脳内で都よくき換えていたのだ。

その夜、琢磨は、咲が本数の財閥・神の令嬢であったという事実以に、遥かに残酷で、受け入れがたい真実に直面していた。

彼がここまで度も致命な破滅を迎えることなく、企業の社という眩い座にり詰めることができたのは、彼自が特別に優秀だったからでは決してなかった。

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