みかん小説
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"七年の指輪を外す夜" 第16話

としか答えられず、彼は自らのプレゼン能力と運の良さだけで物投資を説き落としたのだと、誇らしげにい込んでいたのだ。

だが、暴かれた真実は、それだけにとどまらなかった。

会社設から目。 アスターリンクは、最の取引先の倒産と売掛の焦げ付きがなり、創業以来最も刻な黒字倒産の危に瀕したことがあった。 メインバンクからの追加融資を酷に断られ、資ショートまであと週に迫った極限状態の、方の雄であるが、突如として千万円の緊急つなぎ融資枠の設定に応じたのだ。

当、琢磨はその奇跡な融資を取り付けたのは、入社したばかりの希の柄だと信じ切っていた。 の担当常務との最終交渉資料をオフィスに持参し、誇らしげに報告を提してきたのが、ならぬ希だったからだ。

震える指先で、琢磨は当の財務責任者だった元社員の携帯話を呼びした。 話で事を問い詰める琢磨に対し、元財務責任者は、い溜息ののちにこう答えた。

『……相沢社。の専務取締役の直通ホットラインに話を入れ、審査のテーブルに類を乗せさせたのは、さんではありませんよ』 『じゃあ……じゃあ誰なんだよ!?』 『神咲さんです。……相沢社、あなたは本当に、神咲という女性が何者なのかをごないまま、も緒に暮らしていたのですか?』

琢磨は、受話器を握りしめたまま、そのに崩れ落ちた。

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震えるで、彼はオフィスのパソコンの検索ブラウザに、まれて初めて彼女のフルネームを打ち込んだ。 『神咲』。

表示された検索結果は、決してくはなかった。神は、族のプライバシーをメディアに晒すことを徹底して禁じていたからだ。 けれど――画像検索のい階層から、枚の古い集写真がヒットした。

今から、ホテルで催された『神ホールディングス創周記祝賀会』の公式記録写真。 最列の央には、本の政財界の鎮たちに囲まれて堂々と佇む神正会夫妻。 そして、そのすぐ隣に――気品ある濃紺のイブニングドレスをに纏い、凛とした涼やかな差しでを見つめる、当歳の神咲の姿が、鮮に写しされていた。

写真のキャプションには、極めて簡潔に、こう記されていた。 『神ホールディングス取締役会・神正氏、同夫、ならびに女・神咲氏』

琢磨は、画面に映しされたその写真を、息をすることすら忘れて何分も見つめ続けていた。

。 丸々ものあいだ、隣で同じ毛布にくるまり、同じ鍋のスープを分けってきてきたはずの女性。 どうして彼女が、百億円を超える型投資契約の法な条項に、弁護士並みに詳しかったのか。 どうして彼女が、名だたる産業界の鎮たちの性格や派閥の力関係を、まるで昔からのりいのように把握していたのか。

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どうして彼女が、創業目の彼が徹夜でいた拙い事業計画を目見ただけで、致命なキャッシュフローの穴を正確に言い当てることができたのか。

彼は、その理由を度だってく考えようとはしなかったのだ。 最初の頃は、『咲って、との回転がいんだな』と軽く片付け、やがて彼女が沈黙するようになると、『所詮はビジネスの現をらない素の女だ』と見し、自分の世界からはるかに取り残されたなのだと、勝に決めつけていたのだ。

翌朝。琢磨は、社してきた希を、社へと呼びした。 ブラインドを閉め切った暗い部ので、琢磨は机に両をつき、充血した目で希を睨み据えた。

「……希。のあの千万円のつなぎ融資。番最初に専務のホットラインを拓してパスをしたのは……咲だったのか?」

希は、揺する素振りすら見せなかった。 にしていたタブレット端末を胸元に抱き、静かに、澄んだ声で答えた。

「そうです」 「……っていたのか?」 「ええ。当の融資実務の担当を引き継いだのですから、稟議の推薦ルートを見れば目瞭然でした」

琢磨の喉から、りと裏切りが入り混じった唸り声が漏れた。

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