みかん小説
本棚

"七年の指輪を外す夜" 第12話

いつのにか、私もまた、彼ので「次の成にはなコスト」として分類されていたのだ。

私は、何もにつけていないを彼に見せた。

「この指輪、覚えてる?」

琢磨の線が、私のく何もない薬指へと落ちた。 私はコートのポケットから、あの細いプラチナのリングを取りし、ガラステーブルのガラス面のに、カツンと乾いた音をてて置いた。

「返すわ」 「……咲」 「昨、あなたは言ったわよね。今の私たちは、もう同じ未来を歩く相ではないって。私は、あなたのその言葉をちゃんと正面から受け止めたの。だから、その言葉通りにするだけよ」

琢磨の呼吸が、急激に荒くなった。彼はテーブルにを乗りし、懇願するようにを伸ばしかけた。

「……そんなに急いで、何もかもをゼロにする必はないだろ! 俺は、君を俺のから完全に追いしたいわけじゃないんだ!」

その瞬。 私ので、この数ずっとえ切っていたの底から、業のような激しいりが気に吹きがった。

私は顔をげ、彼の瞳を真正面から射抜いた。

「――じゃあ、あなたは何のつもりだったの!?」

私の鋭い声に、琢磨がビクッと肩をねがらせた。

「私を、あなたののどこに置いておくつもりだったの!? 昔からっている、都のいい切な友達? 会社がうまくいかなくなったにいして、『あの頃のおは無償で支えてくれたのに』って懐かしむための精神定剤? それとも……さんと結婚した披宴の末席に私を座らせて、私が笑顔で拍して祝福してくれたら、あなたの勝な罪悪が綺麗に消えって満だったわけ!?」

広告

琢磨の顔から、みるみるうちに血の気が引いていった。唇が震え、何の言葉も返せない。 私はく息を吸い込み、乱れた呼吸をえた。これ以、この男ので声を荒らげることすら、の無駄だと気づいたからだ。

「……琢磨。別の女性を選ぶこと自体を、私は責めるつもりはないわ。は変わるし、環境が変われば求める相が変わるのも、ビジネスの世界ではよくあることでしょう。……でもね。自分から別の女性のを取っておきながら、捨てた相に対して『俺のの片隅に残って、俺の過が無駄じゃなかったことを証し続けてくれ』なんて……そんな都のいい甘えは、絶対に許さない」

私はスーツケースの持ちを引きげ、段ボール箱を抱えげた。 彼の横を通り過ぎ、玄関へと向かおうとしたその――。 琢磨が、激しい勢いで私のを掴んだ。

「待てよ! ……どこへ帰るんだよ!? く当てなんてあるのか!?」 「神のよ」 「神って……どの神だよ!?」

私はち止まり、彼の顔を見つめた。 今ここで、すべての種かしをしてやることもできた。おがをげて必に営業をかけている相が、誰の元にあるのかを。 けれど、もうそんな言葉をにする気力すら湧かなかった。

その、玄関ので、エレベーターの到着を告げるチャイムが鳴り響いた。 け放たれた玄関ドアの向こうに、の条礼司がっていた。

広告

礼司は、琢磨が私の腕を掴んでいる景を見るなり、わずかに眉を寄せたが、内に踏み込んでくることはしなかった。ただ、徹な線を琢磨へと突き刺した。 私は、掴まれていたを、たく振り払った。

「……そのうち、分かるわよ」

礼司が無言で歩み寄り、私のからい段ボール箱を軽々と受け取った。 その瞬、琢磨の線が、礼司の顔ち、そして胸元にる条商事の社章ピンへと吸い寄せられた。 琢磨の表が、驚愕と混乱によって劇に凍りついた。

「条……商事の……条執役員……?」

礼司はこの、経済メディアの「次世代を担う若トップリーダー」として幾度となく特集されていた。アスターリンクが喉からがるほど提携を望んでいた、メガ商社の投資責任者そのだったのだ。 琢磨は、信じられないものを見る目で、私と礼司の顔を交互に見比べた。

「どうして……どうして条さんがここにいるんだ? 咲、君とどういう関係なんだよ!?」 「子どもの頃から、っているのよ」 「子どもの頃から……!?」

礼司がエレベーターの扉をで押さえ、私を先にへと促した。 乗り込んだ私の目ので、ゆっくりと鉄の扉が閉まり始める。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: