"作文の余白に書かれた秘密" 第9話
朝分の昇
の朝の気は、制のコートを通り抜けて肌に直接刺さった。
午分。
いつもなら、まだ鍵当番の用務員さんしかいない帯だった。
昇のきなガラス扉にはい結がびっしりと付き、のがぼんやりと滲んで見えていた。
私はスニーカーの紐を結び直すもなく、息を切らして駄箱の並ぶに駆け込んだ。
換気扇のい唸り声だけが響く暗い空に、がつ、ぽつんとっていた。
悠斗だった。
彼はスクールバッグを元に置き、袋をしたで、細い便箋の束を枚ずつ徒たちの駄箱へ差し込んでいるところだった。
すでに組の棚の半分くに、い片の端が顔を覗かせていた。
「悠斗!」
私が声をげると、彼の背がびくりとねた。
振り返った悠斗の顔は、夜を徹して何かと格闘したのようにやつれ、目のに濃い隈が張り付いていた。
「……何しに来たんだよ、也」
悠斗はち止まることなく、次の片を指でつまんだ。
それは美緒の駄箱の隙だった。
「やめなよ!」
私は駆け寄り、彼の腕を力任せに掴んだ。
悠斗の指先は氷のようにたかった。
抵抗しようとする彼のから、残りのの束を奪い取る。
に数枚の便箋が散らばった。
赤インクの文字が、く乾いたのに並んでいた。
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『美緒、お母さんの顔を窺って笑うのは、もう終わりにしましょう。』
『輝、本当はサッカーを辞めたいんでしょう? 言えないなら、私が代わりに言ってあげます。』
喉の奥から、酸っぱいものが込みげてきた。
「これ……何? 先の言葉のつもりなの?」
私の声は震えていた。りよりも、目のの同級が壊れていくことへの恐怖だった。
「森先は、こんな乱暴なこと度もかなかった! 先は、相が話したくなるまで何週も待ってくれるだったでしょ!?」
「待ってたら、遅れになるんだよ!」
悠斗が私のを振り払った。
その拍子に、散らばった片が乾いたを滑った。
「健太の顔、見たろ! あの青痣、どんどん広がってるんだぞ! 美緒だって毎吐きそうな顔して学に来てる! 待ってて誰が助けてくれた!? 先がいなくなってから、誰も何もしてくれないじゃないか!」
「だからって、の秘密を勝に晒していいわけない!」
「秘密じゃない、SOSだろ!」
悠斗の号が、え切った昇のコンクリートに反響した。
「森先なら、絶対に踏み込んでくれた! あのは、俺たちが隠してる番痛いところを、ちゃんと引っ張りしてくれたんだ! なんかにそれができるかよ! あいつは『ルールを守りなさい』しか言わねえんだぞ!」
「悠斗、聞いて」
私は胸元を抑えながら、昨ので聞いた事実をにしようとした。
森先は戻らない。
先は、私たちのさに耐えかねて逃げしたのだと。
けれど、その言葉を喉までしかけた瞬、昇の自ドアがいうなりをげていた。
たい気とともに、い革靴の音が響いてきた。
先だった。
彼女はマフラーを首に巻いたまま、ち尽くす私と悠斗、そしてに散らばった無数の赤文字の片を、静かに見ろしていた。