"作文の余白に書かれた秘密" 第4話
あとの期限
翌朝のショートホームルームは、張り詰めた沈黙ので始まった。
教壇にった先は、昨のような厳しい表を崩し、どこか事務とも言える徹な声で枚のプリントを配らせた。
「来の事予定です。確認しなさい」
徒たちが用に目を落とす。
そこには、第週の曜に太枠で囲まれた事が印刷されていた。
『授業参観・保護者会』。
「すでに学だより等で告されていますが、このの目、本クラスでは国語の公授業をいます」
先はチョークをに取り、黒板に付をき留めた。
「それから、学から正式な決定がりました」
チョークを置く乾いた音が、静まり返った教に鋭く響いた。
「この保護者会当までに、森先が職務に復帰されない、学は正式に森先の担任職を解任します。そして学末まで、私が正式な担任として本クラスを受け持つことになります」
ざわり、と教が波打った。
「解任って……」
「じゃあ、先はもう戻ってこないってことですか?」
何かの徒が堪えきれずに声をげた。
先は表つ変えずに答えた。
「これは学の管理運営の規定です。いつ戻るかわからない教員を待つことで、指導や常の学級経営に遅れをすわけにはいきません。
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期限はあとです」
。
具体な数字を突きつけられた瞬、教のの空気が急速に力を増した。
これまで「先はし休んでいるだけ」という曖昧な猶予のに逃げ込んでいた全員が、現実の崖っぷちにたされたのだ。
「以です。直、号令」
ホームルームが終わると同に、教は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
誰もが々に満やを吐きしていたが、先の決定を覆す段など誰持っていなかった。
放課、私は清掃用具入れので、悠斗の腕を掴んだ。
「ちょっと来て」
悠斗は舌打ちをしたが、私のただならぬ気迫に気圧されたのか、無言でついてきた。
向かったのは、体育館裏の非常階段のだった。のたいが吹き抜け、枯れ葉が元でカサカサと音をてていた。
「昨の夜のやつ、何なの」
私は悠斗の胸元を睨みつけた。
「健太の作文、勝に持ちしたでしょ。何をくつもりだったの」
「……あいつ、親父に殴られてる」
悠斗は線を逸らさずに言った。
声がく震えていた。
「顔の痣、部活で転んだって誤魔化してるけど、嘘だ。俺にはわかる。あいつの親父、嫌が悪いとすぐがるタイプだ」
「だからって、先の調で何をく気!? 『お父さんのこと、誰かに相談しなさい』ってくの? そんなの、健太が番言われたくないことかもしれないじゃない!」
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「じゃあ放っておくのかよ!」
悠斗が鳴った。
いつも無で、教の隅で静かに本を読んでいた悠斗が、喉を張り裂かんばかりに叫んだ。
その瞳には、血ったような痛々しいが宿っていた。
「森先なら、絶対に気づいてた! あいつが誰にも言えないでで抱え込んでるの、先なら見逃さなかった! それを……は教科の文法しか教えねえんだぞ!? 誰も助けてくれないなら、俺たちが先をやるしかないだろ!」
「悠斗……」
「俺は、やめない」
悠斗は息を乱しながら、ポケットからスマートフォンを取りした。
「あとだろ。先が戻ってこないなら、それまでに俺たちが全部終わらせる。あのがここにいたを、なかったことになんかさせない」
「待ちなよ、悠斗!」
私の制止を振り切り、悠斗は乱暴な取りで舎のへと戻っていった。
取り残された私の元で、スマートフォンがく震えた。
ドキュメントの更通だった。
画面をくと、健太の作文データのに、すでに赤い文字がき込まれていた。
『痛いのは、あなたのせいじゃない。逃げてもいいのよ。』
それは森先の言葉だった。
けれどそれをいたのは、父親の鳴り声に怯えながら自のベッドで震えている、悠斗自だった。
私たちは、先の言葉を真似ているのではなかった。
自分たちが誰かに言ってほしかった言葉を、んだ先のを借りて叫んでいるだけだったのだ。
そしてその怪物は、もう誰のにも負えない速度で、教を侵し始めていた。