みかん小説
本棚

"学費120万円をくれた伯父と、土地を狙う伯父" 第20話

「おが持っていけ」

「私が?」

「俺にはもういらん」

私はすぐには受け取りませんでした。

「おじさんがいたものだから、おじさんが決めて」

「だから、おに持っていけって決めた」

私はようやく頷きました。

その言葉なら受け取れました。

封筒を自分の鞄へ入れるに、私はもう度だけ便箋を見ました。

9の付。

い文章。

飾った言葉は何もありません。

それなのに、10の120万円のを完全に変えるには分でした。

夕方、私は返用の封筒を鞄から取りしました。

昨と同じように、おじさんへ差しすことはしませんでした。

机のでを確認し、そのまま自分の鞄へ戻しました。

返す相が受け取らないから、仕方なく持ち帰るのではありません。

最初から、おじさんが返してもらうためにしたではなかったのです。

その事実を、私はようやく受け入れ始めていました。

けれど、気持ちは簡単には追いつきませんでした。

「おじさん」

「なんだ?」

「じゃあ、私は何を返せばいいの?」

おじさんはすぐには答えませんでした。

窓のへ度目を向け、それから私を見ました。

「返すことしか考えられんのか」

その言葉に、私は何も言えませんでした。

9の1枚で、借だとっていたものは消えました。

その代わり私は初めて、別の問いと向きうことになりました。

広告

恩は本当に、受け取った相へ同じ形で返すものなのか。

その答えを、私はまだりませんでした。

翌朝、私は9の便箋を机のに置きました。

公平おじさんは縁側の子に座り、庭を見ていました。

昨の問いが、まだ私のに残っていました。

何を返せばいいのか。

私はその答えを聞かないまま、京へ戻る気にはなれませんでした。

「おじさん、昨の話なんだけど」

おじさんは振り向きました。

「まだ返す話か」

し呆れたような声でした。

「返すっていうより、分からなくなったの」

私は正直に言いました。

「10、120万円を返せたら恩返しになるとってた」

おじさんは黙って聞いていました。

「でも、おじさんは最初から返してもらうつもりがなかった」

「そうだな」

「じゃあ、私は何をしたらいいの?」

おじさんはすぐには答えませんでした。

で膝をゆっくりさすり、し考えていました。

私は急かさず待ちました。

やがておじさんは、庭の向こうへ目を向けたまま言いました。

「恩ってのは、返して終わりにするもんじゃないだろう」

私はその横顔を見ました。

「どういうこと?」

「俺が困ってた、誰かに助けてもらったこともある」

おじさんはそれ以、昔話を詳しくしませんでした。

「だからおにしたも、俺のところへ戻ってこなくていい」

私はわず聞きました。

広告

「じゃあ、どうしたらいいの?」

おじさんは今度は私を見ました。

「次に困ってる奴がいたら、そっちへ回せ」

その言葉を聞いても、すぐには理解できませんでした。

私は120万円を、1つの借りとして見続けてきました。

借りなら、元の相へ返して終わるものです。

でもおじさんは最初から、そう考えていませんでした。

「らないでも?」

「ってるでもいい。おじゃなくても、別にだけじゃない」

おじさんはし笑いました。

「そのそのにいるもんを、伝えばいい」

私は9の便箋を見ました。

返済義務はない。

その言葉のが、昨よりし広がった気がしました。

私は鞄から、120万円の封筒を取りしました。

昨までは、おじさんへ渡せないことが残りでした。

今は机のに置いても、気持ちが違いました。

「これ、京へ持って帰るね」

おじさんは頷きました。

「どうしろと?」

「おじさんには渡さない。最初からそう言ってる」

私はわず笑いました。

その笑いで、10握っていたものがしだけ緩んだ気がしました。

けれど、まだ1つ引っかかっていました。

「でも、おじさんが今困ってることまで、次のに回して終わりにはしたくない」

おじさんの表がし変わりました。

「俺は丈夫だ」

「その言葉は、もうそのまま信じない」

私は穏やかに言いました。

「から起きられなかったの丈夫は、確認しないとわからないから」

おじさんは返事をしませんでした。

以の私なら、その沈黙を慮だとって、もっとくをしていたかもしれません。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: