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"元義母の仕送り要求と元夫の嘘泣き目薬" 第7話

ワンコールで繋がった受話器から、君のし緊張し、興奮を押し殺したようなの声が響いてきた。

「ゆかりさん、突然すみません。実は……向先の社内で、元旦の憲吾さんがとんでもない祥事をやらかしまして」

「とんでもないこと……? 体、何があったの?」

「会社のを、にわたって横領していたことが発覚したんです。それも、個の返済能力を遥かに超える、億にい額です」

にび込んできた単語のを処理するのに、数秒のをした。

君のから語られた事実は、私の像を遥かに超えて浅ましく、そして破滅に愚かなものだった。

経理部という社内の資移を自由に操作できるポジションを悪用し、憲吾は架空の取引先への支払いを偽装して、会社の資を私な隠し座へと流用し続けていたのだという。

そして、その呆れ果てた使いは、夜の繁華の級クラブでりった、複数のホステスたちへの貢ぎ物だった。

級ブランドの限定バッグ、宝飾計、晩で数百万円が消えるシャンパンタワー。「俺は企業をかす羽振りのいい物エリートだ」と見栄を張りたいがためだけに、彼は会社のにを染めていたのだ。

「先週われた定期の内部監査で、使途が芋づる式に暴かれましてね。

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憲吾さんは即座に懲戒解雇の処分がされました。会社側としては、のメインバンクである当とゆかりさんの顔をてて、刑事告訴だけは旦見送る方針のようですが……その代わり、横領した全額を括で弁済するよう、極めて厳しい最終通告を突きつけられています」

「……横領の総額は、具体にいくらなの?」

「正確な監査の数字は伏せられていますが、なくとも数千万円、利息や損害賠償を含めれば億くに達すると囁かれています。般社員が逆ちしても払える額じゃありません」

点と点が、本の太い線で繋がった。

かず子さんが話でっていた「憲吾が精神に参って休職」という涙の訴え。あれは、息子の横領による解雇と巨額の借を隠蔽し、元嫁である私から横領の補填を引きすための、姑息極まりない狂言だったのだ。

息子が犯罪にを染めたことをりながら、赤のに戻った元嫁を騙して代を毟り取ろうとする母親。

その底れぬ顔無恥さと醜悪さに、背筋に烈な嫌悪がった。

「……それで、憲吾本は、自分の犯した罪について何と言っているの?」

私の問いに、君はいため息を漏らした。

「それがですね……全く反省のがないんですよ。『俺は騙されただけだ! 悪いのは貢がせた女たちだ! 俺こそが被害者だ!』と役員で喚き散らしていたそうです。

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当然、層部は誰も取りわず、警備員につまみされていましたが……」

目に浮かぶようだった。自らの欲望と見栄が招いた結果であるにもかかわらず、非を認めず、すべてをのせいにして逃げ回る。かつて庭内で私を罵倒し、つ当たりを繰り返していたあの姿そのものだった。

「君、教えてくれてありがとう。本当によく分かったわ」

「いえ……ゆかりさん、本当にあんな奴と婚して正解でしたよ。もし婚姻関係が続いていたら、ゆかりさんにまで法・銭なのがりかかるところでしたから」

話を切った、私は呼吸をひとつし、たい堵の息を吐きした。

もしあの、かず子さんの嘘泣きにしでも絆され、れみのをしてしまっていたら――私は犯罪者の横領を肩代わりさせられ、自らのまで沼の奈落へ引きずり込まれるところだったのだ。

彼らが、次にどのようなにてくるかはだった。

自分たちに残された唯の「財布」である私を、骨の髄までしゃぶり尽くそうと、さらに狂気じみた執着を見せてくるに違いない。

私は迷うことなく、スマートフォンをいた。そして、憲吾とかず子さんの話番号、メールアドレスを、切の躊躇なく完全な着信拒否リストへと追加した。

これで、彼らの腐りきった声が私の常に届くことは度とないはずだった。

着信拒否を設定してから数、スマートフォンは静寂を保ち、実には穏やかな常が戻ったかに見えた。

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