"妻の避妊薬" 第21話
「私がにつけたような吉なものなんて、汚らわしいってうかもしれない……。でも、これは私にとっての本当に切な宝物だし、んだらあの世には何も持っていけないから……どうか、私のせめてもの形見だとって、受け取ってもらえないかな……」
あけみはそう言いながら、涙を浮かべた目でじっと女の歩みの顔を見つめ、懇願するように告げた。
僕は、娘の歩みがその申しを激しく拒絶し、再び激してモノを投げつけるのではないかと構えた。しかし、にも歩みは何も言わず、ただ静かに黙ったまま、さくうなずいた。
それから、歩みはトコトコとあけみのベッドサイドへと歩み寄り、差しされたジュエリーボックスのに並ぶさな宝を指さしながら、ぽつりと尋ねた。
「……ねえ、この指輪は、いつ買ってもらったの? どんないのだったの?」
歩みは、つつのアクセサリーについて、細かく母親から当のエピソードを聞きし始めた。
い昔の族としての幸せだった頃のい話と共に、つつのプレゼントに込められた背景を懐かしそうに説していくあけみの表は、いつしかトゲが取れてすっかり柔らかくなっていた。気がつけば、あけみと歩みの母娘は、すっかり打ち解けたように笑顔を交えながら楽しげにい話にを咲かせていたのだった。
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その温かくもどこか切ない親子の景を目の当たりにしながら、僕はのどこかでふと、こう自問自答していた。
(――もしかしたら、あけみがあんなにの男との倫にってしまい、最終に婚という破滅な結論に至ってしまった原因のすべてが彼女だけにあるのではなく……当の僕自にも、庭を顧みず単赴任を言い訳にして妻をきりで追い詰めてしまった、何らかの責任や落ち度がなからずあったのではないだろうか……?)
『単赴任だったから忙しかったんだ』という言い訳を盾にして、あけみに幼い子供たちの育児というすぎる字架をたったで背負い込ませてしまっていた。しかも、まだ学と学という番でがかかる期の子供を、母親だけでワンオペで面倒を見続けることがどれほど精神に過酷で孤独なものだったか。僕は仕事にかまけて、夜遅くにあけみに労いの話をかけることもせず、たまの休みに実に帰ったですら、彼女の孤独な愚痴やを聞oidてやることすらしていなかった。
『族を養うための活費を稼ぐためだ』と自分に言い訳しながら懸命働いてはいたものの、本当にでの族のメンタルに対するサポートは、夫としてまったく万全とは言えなかったのではないか――そんな反省のが、胸の奥底からじわじわと湧きがってきた。
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もちろん、今でも静に考えれば、あけみがしでかした倫という裏切り為そのものは決して許されるものではないし、最最悪の所業だったとっている。今の余命宣告という結末も、因果応報の「自業自得」だという気持ちに変わりはない。だが、だからといって、あのの庭の崩壊において、僕自にも妻を追い詰めたさな「落ち度」が切なかったわけではないという現実を、しっかりとに留めておかなければならないとじたのだった。
やがて、あけみと歩みの積もる話も段落し、病院の面会の終がやってきた。
僕たちはあけみから受け取るべき形見の品々をしっかりと受け取り、病をにすることにした。
病のドアをる直、歩みは振り返り、あけみに対してまっすぐな目でこう告げた。
「ママ……。やっぱり、あのの裏切られたことだけは、私は許すことはできないとう。だから、今これが本当に最にする。今まで育ててくれてありがとう……そして、さようなら」
娘の顔は窓から差す夕に赤く染まり、その表を正確に読み取ることはできなかったが、静かに涙を流しているのか、それとも何かきな決を胸に秘めたい顔をしているのか、窓ガラスの反射に映しされたその横顔からは、確かな葛藤の跡が見て取れた。