"妻の避妊薬" 第20話
「……そうですか」
「だからこそ、実からも比較く、当から治療費もすべて実の親御さんにて替えてもらっていたという経緯もあり、あけみさんは流産の術を終えたもそのままこの病院に残り、その染症に対する専な治療を細々と始したということなのです。ですが……残ながら、染症の症状は改善するどころか、薬も効かずにどんどん体の奥へとしていってしまい、気づいたにはもうどうにもの施しようがない末期な状態になってしまっていて……それが、現に至るというわけです」
(なんて勝な女だ……こんな気まずくて言いづらいデリケートな事を、こともなげに赤のの護師さんに代弁してもらうなんて、どこまで力本願なんだよ……)
僕はあまりの呆れ返る展に、わずきないため息をついた。自分のから族に伝える勇気すらない元妻の代わりに、こんな気まずい役目を背負わされた目のの護師さんに対して本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになり、僕は々とをげて謝罪した。
護師にお礼と謝罪を告げてから、僕は再びい取りであけみのいる特別個の病へと戻った。
部に入るなり、女の歩みはまだ収まらない満をぶつけるように、あけみに対して自分の言いたいことを方に話し続けていた。
広告
僕はそっとを挙げて歩みの言葉を静止すると、ベッドのに横たわっているあけみを見据えて、いトーンで核を突く質問を投げかけた。
「……おい、あけみ。お、今はいったい何の目で俺たちをここに呼んだんだ? 本当にただ子供たちに顔を見せて会いたかっただけなのか? それとも、何か別の隠された目があったんじゃないのか?」
で護師からあの衝撃な染症の真実を聞かされただっただけに、あけみがただの傷だけで私たちを呼びしたわけではないことは容易に像がついた。
『にみを残したまま枕元にたれても面倒だし気持ちが悪いから、せめて最の願いだけでも聞き入れてやろう』
そんなめた計算が僕のの片隅にあったことも確かだった。
あけみはしばらくの、布団のでじっと黙り込んで井を見つめていたが、やがてかすれた声を絞りすようにして、ぽつりぽつりと話し始めた。
「……あなたたちを散々騙し続けて、族を裏切ったこと……すべて私の責任です。本当に、ごめんなさい……。歩みにも、直にも、そしてあなたに対しても、本来なら度とわせる顔なんてないのは分かっています。けれど……私の残された命のももう本当に入院の限界で限られているからこそ、最にどうしても、あなたたちにお願いしたいことがあるの……」
広告
あけみはそう言いながら、枕元に置いてあったバッグのから、枚の折られた類を取りしてゆっくりと僕たちのほうへと差しした。
それは、額の掛け捨て型「命保険の受取変更に関する同」だった。
「私にもしものことがあってんだら……この保険の受取を、歩みと直のに指定して、受け取ってほしいの……。それが、私にできるせめてもの償いです」
あけみはかすれる息をえながら、さらに言葉を続けた。
「それと……私が昔、まだあなたと夫婦だった頃に、パパ(あなた)からもらった指輪やネックレスなどのアクセサリー類があるの。それを……歩みに形見として受け取ってほしいの」
「……は?」
僕はわず声を漏らした。
「こんな最な裏切りをした私だけど……あなたが昔くれたあのプレゼントの数々だけは、どうしても放す気になれなかったし、捨てることもできなかったの。私にとっては、どれも本当にかけがえのない切ないの品だから……どうか、歩みに切に使ってほしいのよ」
そう言いながら、あけみは病のベッドの脇にあるサイドテーブルの引きしをゆっくりとき、さな製のジュエリーボックスを取りした。そのには、かつて私が結婚記や誕に買ってやったいいアクセサリーの数々が、当のまま綺麗にしまわれていた。