"妻の避妊薬" 第19話
僕はので首をかしげた。もしかしたら、さっきから娘の歩みの声があまりにもきくて、の入院患者や病院の迷惑になってしまったのではないかとい、申し訳ない気持ちでし構えた。廊の隅に移すると、護師はなぜかひどく言いにくそうに、モジモジと躊躇している。
「あの……非常に言いしにくいのですが……」
僕を呼びした護師は、何かを告げるべきか迷っているような、ひどく困惑した顔つきを浮かべていた。
「はあ……いったいどうされたんですか?」
「実は、ご本である患者さんから、個に頼まれたことがありまして……本当はご自から皆さんに直接お伝えしようかとずっと迷っていらっしゃったのですが……」
「私に何か……?」
「ご自の健康や命に関わるなことですので、もしご本様のからどうしても言えないような状況になってしまっていたら、代わりに私からご族の皆様にお伝えしてほしいと、くお願いされまして……」
(いったい何の話なんだ……?)
僕は怪訝な顔をしながら護師の次の言葉を待った。そして、その護師のから発せられたのは、がを疑うようなあまりにも衝撃な真実だった。
あけみが現、余命宣告を受けて入院しているその病気の本当の根本な原因は、なんと「度の性染症(STD)」だったというのだ。
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それは、あけみがあのマッチングアプリでりった例の倫相の男から、性交渉を通じてうつされたものにほかならなかった。その倫相の男は、自分が過に特殊な染症を患っていたことを自覚しながら、その治療歴や病気の事実をあけみに完全に隠したまま関係を続けていたらしい。そして、の倫関係がよりく激しくなるにつれ、あけみもまた、その同じ危険な病原菌に体を蝕まれていってしまったということだった。
当のあけみは、その倫の楽と刺激に完全に目が眩んでおり、週に何度も逢瀬をね、当然のように避妊すらもしないまま、を焦がすような体の関係を無防備に続けいていたという。
(――正直、『自業自得だろ、この世らずのバカ女が!』って、今すぐ病に戻って声で鳴りつけてやりたい気分だな……)
僕はの底から湧きがる激しい笑と軽蔑のを、必に奥歯を噛み締めて押し込めた。
それから、僕はをフル回転させ、静になってこれまでの点と点を線で結ぶように考えてみた。
(――そういうことだったのか!)
だからこそ、あの連の騒の、あの倫相の男は、自分が染症に染していることをっていながらあけみに病気をうつしてしまったというな事実に対して恐怖と危を覚え、保のために切の連絡を断って姿を眩ませ、方をくらまったのだ。
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すべてのパズルのピースが綺麗にカチリと音をてて噛みった。そう、あの倫相の男からうつされたその染症こそが、結果としてあけみの残された命のを劇に縮める致命な原因となったのだった。
「でも、どうしてあけみがその染症にかかっているって、そんなにはっきりと分かったんですか?」
僕はわず、目のの護師に対して反射にそう問い返していた。
「実はですね……お客様が婚されてから数週、彼女が突然体調良を訴えてうちの病院にいらっしゃいまして……その、まさかとって妊娠の検査も含めて詳細な診察をったのです」
護師はし言いづらそうにしながらも、詳細を語り続けた。
「その際、彼女は『最精神なストレスやショックがきくて体調が優れないのです』というご相談をされていましたので、『それならこの会に度、全の健康状態も含めて々な検査を徹底にいましょう』ということになったのです。そして、血液検査や精密検査を実施したところ、彼女がその特定のい染症に染しているという事実が判したのです……」
その当、あけみは婚のゴタゴタの最でありながら、すでに妊娠していた事実が発覚したらしい。
「それでも、彼女はその子供は何としても産みたいと、産をく希望されたのですが……ただ、因果応報と言いますか、あるいは神様の罰だったのか……お腹の赤ちゃんには本当に申し訳ないことですが、その直に流産という結果になってしまったのです」