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"妻の避妊薬" 第10話

ドアをけると、担当の職員が笑顔で迎えてくれた。

「お疲れ様です。おかげさまで、すべての件がすっきりと解決しました」

「それは何よりでしたね。無事に終わって良かったです。ところで、慰謝料のほうはきちんと振り込まれていますか? もし途で滞るようなことがあれば、すぐに弁護士を通じて法な措置を取らないとダメですよ」

職員は親になってアドバイスをくれた。

「今のところは、ちゃんとルール通りに丈夫です。もし滞るようなことがあれば、すぐそうさせてもらいます」

「最初のうちは真面目に払っていても、途からなし崩しに踏み倒そうとするが結構いですからね、気をつけてくださいよ」

「そんなの、絶対に許しませんよ。男の方からはすでに括で全額入になりましたし、元妻の方からは分割ですが、最まで銭残らず払わせますから」

結婚した当初は、まさか自分たちのがこんな沼の結末を迎えることになろうとは、なみ自にもっていなかっただろう。を繋いでいたはずの歯は、いったいどの点で完全に狂い始めてしまったのだろうか。そんないがふとをかすめたが、すぐにを振って振り払った。

「それで、最初にお願いしていた件なんですけどね」

興信所の職員は、子に座り直すと、真剣なトーンで話題を切り替えた。

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実は、僕が初めてなみの浮気調査を正式に依頼した際、この興信所から僕に対してつだけ「お願い」をされていたのだ。それは、今回僕たちのに起きたこの実際の浮気解決の連の顛末を、会社のパンフレットやウェブサイトの「調査事例」の例として匿名で取りげさせてもらえないかという打診だった。

『うちのような興信所で、実際にどういう流れで調査がわれ、証拠を掴んで解決に至るのか、そのリアルな実例として紹介したいのです』

『実名や顔写真はもちろんお断りします。あくまで仮名での掲載が提ですよね? それと、読んだ元が特定されるような具体な個報は絶対に伏せてもらうことが条件です』

『もちろんです! プライバシーの保護は徹底します』

僕は条件付きでその提案をく引き受けていた。フリーペーパーの編集の仕事柄、持ちつ持たれつの協力関係というやつをよく理解していたからだ。

「以にもお話しした通り、完全に匿名にしてプライバシーを守る形であれば構いませんよ」

「それはもちろん徹底します! 私どもとしても、般の方に調査の具体な流れや実態をってもらうのが番の目なので……ちなみに、今回の記事にするにあたって、どんなじのキャッチコピーや文言にしようか今考えているのですが……よろしければ、依頼であるあなたのご見も聞かせてもらえませんか? うちの広告媒体で、ちょっときく取りげようとっていまして」

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「いいんですか? それは面いですね」

「ええ。普通の真面目に見えるの裏の顔、みたいなテーマにしたいんですよね」

「なるほど……それなら、このフレーズを使えないだろうか」

僕はし腕を組んで考え込み、ふと名案をひらめいた。

「『普通の会社員も、そして普通の公務員も……』というじで、対比させるような見しにできますか?」

「おっ、それはいいですね! 非常にキャッチーで目を引くフレーズだ。それできましょう!」

こうして、僕が々の仕事で苦労して取材交渉をねて作りげた域のタウン誌が、無事に完成して発刊された。度の定期発だが、自分の沼劇がに絡んだ今回の号ほど、精神に駆けずり回り、あるいものはこの先度とないだろう。

今の代の興信所は、昔のうさん臭いイメージとは違って、タウン誌やネット媒体にも堂々と広告をす。

『普通の会社員も、そして普通の公務員にも……もしかしたら、あなたのお隣さんの顔のに、恐ろしい裏の顔があるかもしれない』

そんなでセンセーショナルな見しが命打たれた興信所の広告が掲載された。そして、それとタイアップするかのように、今回の僕たちのケースをベースにした連の倫調査の々しい顛末が、個が特定されないよう名名を巧妙にぼかしつつも、ざっくりと記事としてまとめられていた。

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