"妻の避妊薬" 第9話
男の司はすっかりパニック状態に陥り、を抱えて激しく慌てふためいていた。
僕はカバンから封筒を取りし、テーブルのにスライドさせた。
「これ、弁護士の名で作成した内容証郵便の控えになってます。当然、男本からはきっちり額な慰謝料を支払ってもらいますんで、そのつもりでいてください」
目ので言葉を失い、完全に青ざめて仰している司をそのに残したまま、僕は応接をにした。胸のつかえがしだけりて、久しぶりにかなりすっきりした爽をわうことができた。
しかし、そのの夜。スマートフォンが激しいバイブ音とともに鳴り響いた。画面を見ると、男から連絡でもいったのだろうか、今度は激したなみからのメッセージが何通も送りつけられてきていた。
『体どういうつもりなのよ! 彼の奥さんだけじゃなく、職の司にまで直接連絡してくなんて、正気なの!?』
僕は届いたメッセージ画面をややかな目で瞥し、指をかして淡々と返信した。
『おが俺にやった酷いことに比べたら、これくらいいもんだろ。自業自得だ』
『みんなにな迷惑がかかるじゃない! どうしてくれるのよ!』
『はあ? こっちこそおにを台無しにされて、これだけひどい裏切りを受けたんだよ。
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どのがそんな被害者面して言ってやがるんだ』
『それは……その……』
『度と俺に連絡してくるな。あと、慰謝料は分のたりとも逃れられるとうなよ、きっちり全額払え』
僕はそれきり彼女からのメッセージの通をオフにし、ブロックした。
これだけではまだ終わらない。僕はさらに、なみの勤めていた職の関係を利用して追い討ちをかけることにした。なみの同僚のうち、連絡先をっていた数に連絡を入れ、「実は妻が職のと倫していて……今どうするのが正解なのか分からなくて相談なんだ」と、いかにもな夫を演じて相談を持ちかけておいたのだ。
もちろん、そんなものはすべて復讐のための真っ赤な建だ。どうするも何も、僕ののでは最初から「婚択」以の選択肢などしなかったのだから。
なみの職の同僚ので、私が連絡できるは限られていたが、そのでも特に「噂話が好きで、が軽そうな女性」をあえて選んで標にした。女性の好奇を徹底に煽るような興いワードを散りばめてメッセージを送ると、予通り、こののは頼んでもいないのに勝に社内で噂を面おかしく広めてくれる。こちらが細かい指示をさなくとも、餌さえ与えればは勝に周囲へ報を拡散してくれるのだから、実にありがたい話だった。
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その結果、噂はまたたくに社内全体へと広がり、なみは会社ので完全に自分の居所を失うことになってしまった。倫相の男だけでなく、なみ自もまた、勤務に何度も休暇を正に取得して倫に溺れていたことが会社のるところとなったのだから、当然の報いだった。
社内の女性社員全員からややかない目を向けられ、完全に分状態のシカトをらい続けたらしい。直属の司からも厳注を受けたが、女性社員たちの烈な圧力と居の悪さに耐えきれなくなり、なみは結局会社を自ら退職せざるを得なくなったのだった。
会社をクビ同然で追いされたとはいえ、法律で定められた額な慰謝料の支払義務が消えるわけではない。無職になろうとも、慰謝料の返済は容赦なく待ってくれない。そのため彼女は、てっ取りく銭を稼げると同に、度を踏み入れたら度と抜けすことのできない夜の世界の裏稼業にを落とすことになったという噂を、になって伝てににした。
まあ、僕からすれば、取り決めた慰謝料さえ毎きちっと払ってさえくれるなら、なみが今どんな底辺な活を送ろうが、ったことではないしどうでもよかった。
「とりあえず、これで俺がやりたかった復讐はひと段落ついたな」
そういった僕は、お世話になったあの興信所のオフィスを再び訪ねることにした。