"妻の避妊薬" 第5話
りが頂点に達したが、僕はまだの赴くままにくことはしなかった。
「もっと決定な証拠を固めたい。調査の継続をお願いします」
僕は興信所の担当者にそう告げ、さらにかぬ証拠を集めるよう依頼した。
もちろん、自宅に戻れば、僕はこれまで通りの「優しい夫」を完璧に演じ続けた。なみも同様で、夫のでは何わぬ顔で笑顔を振りまき、献な妻を演じている。お互いに仮面をかぶったまま、沼のような「良き夫・良き妻」の芝居が続けられていたのだった。
数、興信所から分い封筒が届いた。
をけると、そこには目を覆いたくなるような々しい写真の数々が収められていた。が昼堂々とラブホテルに入りしている瞬をとらえた決定瞬、ので肩を寄せって親しげに笑いっているシーン、そして、級レストランの窓際でワイングラスを傾けながら事を楽しんでいるシーン――ありとあらゆるプライベートの写真がそこには残されていた。
そのレストランの写真をじっと見つめ、僕はさらに絶望な気分になった。そこは、なみがお気に入りで、僕も過に何度かデートで連れてったことがあるだった。僕とのいの所にも、平然とあの男を連れ込んでいたのだ。
「女のする事って、本当に残酷で酷なものだな……」
広告
僕はため息をつきながら、写真たてを机に置いた。
「おい、どうだ? 調査のみ具は?」
職のデスクに戻ると、事をすべてっている同僚が配そうに声をかけてきた。
「ああ、さすがプロの仕事はいよ。興信所って本当にすごいな。世の、やっぱり需と供のバランスで成りってるんだって痛したよ」
僕は苦笑いを浮かべながら、同僚に見せるように報告を軽く振ってみせた。
「で、どうするの?」
「そろそろ決定な証拠も分に揃ったし、この連の資料を全部なみに叩きつけて、気にぶちのめしてやろうとってるんだ」
「いよいよお仕置きのだな。徹底にやってやれよ!」
同僚の力い言葉に背を押され、僕はついに決のを迎える準備をえた。
そのの夜、僕はすべてを終わらせるためにきした。
「なみ、ちょっといいか?」
いつもと変わらない穏やかなトーンで、夕の片付けを終えたばかりのなみに声をかけた。
「ん? どうしたの、急に真面目な顔して」
なみはキッチンからタオルでを拭きながら、リビングのソファに腰掛けた僕の方へ歩いてきた。
僕はテーブルのに両肘をつき、静かに切りした。
「ほら、結婚してからもなかなか子供ができないじゃん? 度で病院とかってみないか?」
「え……別に、そんなのいいよ。
広告
自然に任せればいいじゃない」
なみはし怪訝そうな顔をして目を逸らした。
「結婚してもうだろ? このままできないとなると、もしかしたら俺の方に何か原因があるかもしれないしさ」
「うーん……そこまで焦る必ないでしょ」
「だからこそ、で度検査してもらおうよ」
「いらないわよ、そんな病院なんて!」
なみはし声を荒らげ、頑なに拒絶した。
「なんでそんなに嫌がるんだよ。だって、子供は授かり物なんでしょ? まだそのじゃないってことじゃないの?」
「そのって……子供を授かっていいタイミングなものがあるのよ」
「ふーん。そんな都のいいタイミングって、いつ来るわけ?」
「え……?」
なみが絶句した瞬、僕は元に隠していた興信所のぶい調査報告を、テーブルのでドンと音をててなみの目のに突きした。
「え……何これ?」
なみは青ざめた顔で報告の表を見つめた。
「けてみろよ。それが何だか分かるだろ」
「違う……何これ、こんなの……」
「俺、見ちゃったんだよね。おがらない男と、で腕を組んで楽しそうに歩いているところをさ」
「えっ……それ、会社の同僚のなんじゃないの?」
なみは必に取り繕うように言い訳を並べてた。
「会社のかどうかは、この報告のに全部写真付きで細かくかれているんだけどな。……、見ないのかよ?」
震えるなみは、恐怖からか報告の冊子にを伸ばそうともしなかった。
「おい、見ろよ!」
僕はさらに語気をめ、報告をなみの胸元へと押し付けた。