みかん小説
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"妻の避妊薬" 第3話

議なことに、なみは子供ができないことに対して何の焦りもじていない様子だった。がる素振りすら見せず、どこか余裕を持った表で毎を過ごしていたのだ。

その、僕はフリーペーパー制作の取材仕事で、を歩き回っていた。同僚のカメラマンと共に、記事のネタを探してあちこちの舗へ駆けずり回っていたのことだ。

に、同していた同僚がを止め、反対側の歩を指さした。

「ん? あれって……」

同僚が指し示した方向に線を向けると、そこには仕事にったはずのなみの姿があった。しかも、見らぬスーツ姿の男と親しげに並んで歩いている。

「あれ、誰?」

同僚がし気まずそうに、声で僕に尋ねてきた。

「……らない」

僕は揺を押し隠しつつ、乾いた声で答えた。

「え? 何なのあれって……」

もし妻が仕事の環で歩いているのであれば、会社の制なスーツを着ているはずだ。しかし、目ののなみは、あきらかにプライベート用の洒落たワンピースをにまとい、髪型も綺麗にセットされていた。どう見ても、夫婦以のデートの雰囲気を醸ししている。

血の気が引くのと同に、僕のは自然となみたちのいる方へと向き始めていた。

「おい、どうすんだよ、ひろし!」

から同僚の慌てた声がんできたが、僕は振り返らなかった。

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呼び止める言葉を完全に無し、僕はを歩くなみたちの背へと静かに、そして確実に距を詰めていった。

そして、雑踏のざわめきを縫うようにして、の会話が僕のにハッキリと届き始めたのだ。

なみの声が、に乗って鮮に聞こえてきた。

「本当、あいつバカだよね。私のことなんて全く気づいてないの」

隣を歩く男がふっとで笑う。

で自分の妻からそんなふうに侮辱されている旦さんのことをうと、方にいる僕自が惨めで、そして激しいりで全が震えた。

「だってさ、経っても子供できないなんてさ……私がgetRedでちゃんとうまく避妊してるからに決まってるじゃんね」

「まあ、そろそろ妊とか言い期ではあるよね」

「でも、『子供は授かり物だから』とか何とか言って、勝に納得してるのよ、きっと」

「だろうね。それにさ、今ここで万がにも妊娠しちゃったら困るもん。お互い、こうして会えなくなっちゃうしさ」

「それは俺も困るな」

男が甘ったるい声でなみに同する。

そこまで聞いた瞬、僕のはピタリと止まった。あまりのショックとりで、もう歩もけなくなっていた。

し遅れて追いついてきた同僚も、目ので繰り広げられている景と、今にした衝撃な会話の内容を理解し、顔を真っ赤にらせていた。

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同僚はがならないといった様子で、すぐにもしていこうとする。僕は慌ててその腕を掴んで引き止めた。

「なんでだよ! あんなこと言われて、黙って見過ごす気なのかよ?」

「いや、そういうわけじゃない……ただ、ここでに任せて殴りにくにしても、今じゃない気がするんだ」

「どういうことだよ?」

「……ちょっと、この相の男の元も含めて、徹底に調べてみる」

本当なら、今すぐ目のを引きずり回して、そのい切りぶん殴ってやりたかった。しかし、僕の脳裏には、つい先ほど仕事の取材で訪れたばかりの「興信所」の職員が語っていた言葉が鮮に蘇っていたのだ。

婚は、いわば勝つか負けるかの戦いのようなものです。いざというこそを抑えて静にならなければ、裁判でも利になって負けてしまいます』

『負けないためには、こちらに利な証拠や報をどれだけ集められるかで結果がきく変わってくるものです』

『それって、つまり証拠集めってことですよね?』

『その通りです。だからこそ、々のような興信所がしているわけですから』

『興信所ってなんだか秘密めいてますけど、お客さんって結構来るものなんですか?』

『来ますよ。夫婦仲の悩みで話相談から始められる方もいです。何か測の事態が起きたはお力になれるといますので、そのはぜひうちのことをしてくださいね』

あの、職員が優しげに微笑みながら話してくれたアドバイスが、まるで予言のようにでリフレインする。

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