"3回洗う夫と6年潜伏の財閥令嬢" 第12話
とで雇われたと自供を始めています』
その無線のやり取りが玄関に響き渡った瞬、健の顔から完全に気が消え失せた。
私が話で話していた、の妻織さんのお母様。
健が封じのために差し向けたという先は、ゆかりと警察の素い連携によって寸のところで取り押さえられていたのだ。
これで、妻の失踪への関与も、そして今回の殺未遂の教唆も、全て健の犯であることが完全に裏付けられた。
「もう逃げはないわよ、健さん」
ゆかりがたく言い放つ。
権田警部が錠を取りそうとした。
そのだった。
「警部!警部、すぐ来てください!」
呂の奥から、別の鑑識員が血相を変えてびしてきた。
これまでに数々の凄惨な現を見てきたであろうプロの捜査員が、顔面を蒼にしている。
権田警部が振り向く。
「どうした?何があった?」
鑑識員は息を切らせている。
「呂の排溝の奥、配管のトラップ部分を分解したところ……薬品で溶け切らなかった骨の欠片と、歯が量に詰まっていました」
「なんだと?妻のものか?」
権田警部が鋭く問いただす。
鑑識員は震える声で、このにいる全員を凍りつかせる恐ろしい事実をにした。
「いえ、違います」
鑑識員は首を振る。
「見つかった歯の治療痕や骨の摩耗具から見て、これは1や2のものではありません」
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彼はごくりと唾をみ込んだ。
「警部……この呂では、過になくとも5以のが溶かされています」
「な……!」
鳥会も、ゆかりも、権田警部も、そして私も、あまりの衝撃に息を呑んだ。
妻だけではない。5以。
私が6暮らしていたこので、毎朝呂を掃除していたこの男は、体裏で何の命を奪ってきたというのか。
信じられない事実に全員が言葉を失い、静まり返った玄関。
そこに今度は、誰のものともれない気で甲い笑い声が響き始めた。
「ヒ、ヒ、ヒ……」
にうずくまっていた健だった。
彼は狂ったように目をひん剥き、両で顔を覆いながら、腹の底から込みげるような笑い声をげていたのだ。
「ヒヒヒヒヒヒ……アハハハ!」
静まり返った玄関に、健の狂気を孕んだ甲い笑い声が反響した。
つい先ほどまで、鳥会の威圧と警察の登に腰を抜かし、をいつくばっていたはずの彼だった。
だが、自らの余罪が5以暴された瞬、なぜか突如として態度を豹変させたのだ。
健はゆっくりとちがった。
彼は級スーツの膝についた埃をパンパンと払い落とす。
顔にへばりついていた脂汗をの甲で拭い、まるで憑き物が落ちたかのように、ひどく傲で酷な表を取り戻した。
「5?ああ、そうだよ。それがどうした?」
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健は警察官たちを馬鹿にするようにで笑った。
次に、その濁った線を静かにち尽くす私へと向けた。
「おい美咲。おは本当に何もらないれなピエロだったな」
彼は私を指差す。
「卒の底辺で教養もない貧乏のゴミ女。おみたいな何の取り柄もなくの悪い女を、俺がなぜわざわざ妻にして養ってやったか分かるか?」
健のい唇から、再び私を貶しめる醜悪な侮辱の言葉が堰を切ったように溢れした。
「おはな、俺の裏の仕事を隠すためのただの隠れ蓑だったんだよ」
彼は両を広げる。
「族いで真っ当なエリート営業マンという完璧な仮面を作るためだけに、おみたいな寄りのない無能な女が必だった」
健は歪んだ笑みを浮かべる。
「おが毎俺の靴を磨き、ペコペコしながら無の政婦として働いている姿を見るのは本当に傑作だったぜ」
彼は私を見す。
「結局おは、鳥グループの令嬢だろうが何だろうが、6ずっと俺ののひらで転がされていただの惨めな奴隷に過ぎないんだよ」
唾をばしながら、勝ち誇ったように私を罵倒する健。
しかし、私は微だにせず、ただ氷のようにたい線で彼を見つめ返し、完全な沈黙を貫いた。
反論する気すら起きない。
今目ので必に虚勢を張って吠えているこの男が、ただの滑稽なピエロにしか見えなかったからだ。
私のその絶対な沈黙は、逆に健のの奥底にある焦りを引きしているようだった。