"3回洗う夫と6年潜伏の財閥令嬢" 第11話
そして彼女の背には、険しい顔をした数の制警官たちがち並んでいたのだ。
「ゆ、ゆかり……それに、警察……」
玄関のタイルのにへたり込んだ健は、まるで幽霊でも見たかのように目を剥いた。
震える指でゆかりと制警官たちを指差す。
彼が完璧に築きげてきたはずの「エリートで真っ当な夫」というメッキが、今、音をてて剥がれ落ちていく。
ゆかりはややかな線で健を見ろした。
彼女は静かにをく。
「驚くのも無理はないわね」
ゆかりは胸を張る。
「私はあの、学に戻るふりをしてすぐくの警察署に駆け込んだの」
彼女は私の方をちらりと見た。
「現役の法医学者としての分証を提示して、あなたのの呂で『酸性の薬品によって体が溶かされた決定な痕跡』を発見したと通報したわ」
ゆかりは健を睨む。
「私がこっそり採取した、あの赤黒いゼリー状のサンプルの写真を見せたら、警察も事のさをすぐに理解してくれたのよ」
ゆかりの言葉に、数名の捜査員たちが無言のままでのへと踏み込んできた。
そのの1、鋭いを持った初老の刑事が、警察帳を健に突きつける。
「捜査課の権田だ」
権田警部はく凄む。
「現、おのには宅捜索令状がている」
彼はろの部たちに顎でしゃくる。
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「しくをけろ。鑑識、すぐに呂へ向かえ」
「ま、待て!やめろ!」
健は錯乱したように叫び、いつくばったまま権田刑事のにしがみついた。
「これは何かの違いです!俺は何もやっていない!」
健は急に私を指差した。
「そうだ、全部この女がやったことだ!」
彼は血った目を私に向け、狂ったように喚き散らし始めた。
「こいつはのおかしい異常者なんです!」
健は唾をばす。
「卒の底辺で教養のかけらもないゴミ女なんですよ!俺の財産を奪うために、こんなおぞましい捏造をして俺を陥れようとしてるんだ!」
彼は私に向かって叫ぶ。
「美咲!おが全部仕組んだんだろうが!答えろ!この寄虫!」
凄まじい剣幕で、私に全ての罪をなすりつけようとする健。
顔を真っ赤にして叫ぶその姿は、悪魔のように醜かった。
しかし、私は切の表を変えなかった。
たく彼を見ろしたまま、完全な沈黙を貫いた。
言い返す価値すらない。
彼が喚けば喚くほど、その本性が呈し、見苦しさが増していくのが分かったからだ。
私のその氷のような沈黙と静かな差しが、逆に健の焦りを何倍にも増幅させているようだった。
「黙れ。往際が悪いぞ」
鳥会がく威圧な声で言い放つ。
彼は健を酷に見据えた。
「私の娘である美咲が、おのような物の財産など狙うわけがなかろう」
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鳥会はややかに告げる。
「鳥グループの総資産が、おの何万倍あるとっている?貴様のその劣なを、今すぐ縫いわせてやろうか」
鳥会の圧倒な威圧のに、健は蛙が蛇に睨まれたように言葉を失った。
ガタガタガタと震えす。
そのにも、防護を着た鑑識員たちが次々とのになだれ込み、問題の呂へと向かっていく。
そして、数分も経たないうちに1の鑑識員が玄関へ戻ってきた。
そのには、透な証拠品袋に入れられたラベルのないボトルと、あの黒いゴミ袋が握られていた。
鑑識員が報告する。
「権田警部、駄箱の奥に隠されていた特殊な酸性薬品と、審なゴミ袋を押収しました」
彼は袋を持ちげる。
「ゴミ袋のは、ひどい悪臭を放つドロドロに溶けた物の塊です。法医学者の見て通り、違いありません」
権田警部は頷いた。
「そうか。すぐ科捜研に回せ」
絶望な報告を聞き、健は「ああ……」とを抱えてにうずくまった。
だが、事態の拡はこれだけでは終わらなかった。
権田警部の胸元にあった無線が、ガガガとノイズ混じりの音をてた。
『こちらマル。例の清掃業者を名乗る男2名よ。指定の所で現犯逮捕しました』
権田警部が応答する。
「ご苦労。被害者の老婦は無事か?」
『はい。突入が髪にいました。
現保護して病院へ搬送です』
無線の声が続く。
『男たちは、健という男から「邪魔なババアを消して証拠隠滅しろ」