"3回洗う夫と6年潜伏の財閥令嬢" 第6話
私は恐る恐る通話ボタンを押し、に当てた。
「もしもし」
私が声をかける。
「あ、突然のお話、申し訳ありません」
話の向こうから聞こえてきたのは、ゆかりの元気な声ではなかった。
か細く震えるような、見らぬ配の女性の声だった。
「美咲さんの携帯話でよろしかったでしょうか?」
私は戸惑いながら答えた。
「はい。そうですが、どちら様でしょうか?」
相は瞬言葉をためらうようにごもった。
そして、私の血液が全で凍りつくような衝撃な言を放ったのだ。
「私、健のの妻の母親です」
私は息を呑んだ。
「ええ……?の妻?」
健は私と結婚する、「お互い初婚だね」と確かに笑って言っていたはずだ。
が真っになり、言葉を失う私。
女性はさらに震える声で、信じられない事実を告げた。
「美咲さん、今すぐあの男から逃げてください」
女性の声は痛だった。
「私の娘が健ので方になったのも、ちょうど6の今なんです」
私は震える両でスマートフォンを握りしめた。
「の妻……方って、体どういうことですか?」
私はパニックになりそうなで必に問い返した。
健からは、お互い初婚だと聞かされていた。
結婚式には彼の親族も席していた。
だが、誰も彼に婚歴があるなどと言もにしていなかったのだ。
話の向こうの女性は、むせび泣きながら言葉を絞りした。
広告
「娘の織……織は6の今、あのから忽然と姿を消したんです」
女性はをすする。
「警察は、男と駆け落ちしたとして処理しました」
彼女は悔しそうに声を震わせる。
「健が、織の浮気を匂わせる記を警察に提したからです」
女性の声がきくなる。
「でも、あの子がそんなことするはずない!」
彼女は切羽詰まったように言った。
「あの、私が織と最に話した、あの子は怯えきった声で言っていたんです」
私は息を殺して続きを待った。
「『お呂に、恐ろしい薬品が隠してある』って……」
私ははっと息を呑んだ。
「薬品……?」
女性は泣き崩れそうになりながら続けた。
「健は笑っていました。妻に裏切られたな夫を完璧に演じきって」
彼女の声にいりが混じる。
「でも私はっている。あいつが娘を……!」
女性の必の叫びが頂点に達しようとした瞬だった。
「ちょっと、何をするの!やめ……!」
ガチャン!
ツーツーツー。
話の向こうで何かが争うような物音が響いたかとうと、唐突に無質な子音に切り替わった。
私は慌ててスマホに向かって叫んだ。
「もしもし!?もしもし!」
何度呼びかけても、もう繋がることはなかった。
臓が鐘のように打ち鳴らされる。
背にべっとりとや汗が張り付く。
の妻、呂、薬品。
そして今見たあの赤黒いゼリー状のシミと、黒いゴミ袋。
広告
全ての点と点が、おぞましいつの線で繋がろうとしていた。
そのである。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン!
玄関のチャイムが、まるで私の臓をえぐるかのように乱暴に何度も鳴り響いた。
私はビクッと肩をすくめ、モニターを見た。
そこに映っていたのは、健の母親である姑の静だった。
分い化粧に級ブランドのバッグ。
所でも品な奥様として通っている。
だが、のでの顔は健と瓜つの酷な女性だ。
いがけない物の突然の訪問に、私は慌てて玄関へと向かった。
私が玄関のドアをける。
「遅いわね!何をグズグズしているの?」
静は私を突きばすような勢いで鳴った。
彼女はのままがり込み、ツカツカとリビングへ向かっていった。
私は背を丸めて彼女のを追う。
「あ、お義母さん。急にいらして、どうしたんですか?」
静はリビングの真んで振り返り、私を睨みつけた。
「どうしたじゃないわよ。さっき健から話があったの」
彼女は呆れたようにため息をつく。
「『美咲がまたルールを破って呂を汚した』ってね」
静は革張りのソファにどかと腰をろした。
「息子の声がひどく疲れていたから、配でわざわざ様子を見に来てやったのよ」
静は私を元からのてっぺんまで、汚いゴミでも見るような目で舐め回した。
「本当に、あなたはいつまで経っても学習能力がないのね」