"盗撮で脅した夫と1億円超の301号室" 第12話
「僕は奥さんを守るためなら何でもしますよ。失うものがないが番怖いってことを、ってますよね」
夫はしばらくの、私とたけしさんを交互に睨みつけていた。
今は刃物を持って暴れたことが利だから、ひとまず引きがって証拠を集め、弁護士を雇って攻撃する方が得だと判断したのだろう。
夫はに唾を吐き捨ててちがった。
「汚らわしい」
夫は吐き捨てるように言った。
「本当にもういい。てってやる。だがな」
彼はドアに向かいながら、振り返って凄んだ。
「で覚えてろよ。裁判所で徹底に叩きのめしてやるからな」
夫はゼェゼェと息を切りながら寝に入り、当たり次第にをバッグに詰め込み始めた。
しばらくして、彼はきな旅カバンを1つ引いてリビングにてきた。
玄関をるに、彼はリビングの飾り棚のに置かれた置き計をちらりと見た。
持っていこうかという様子だった。
しかし、たけしさんが腕を組んで玄関のにちはだかり睨みつけていると、夫は計を持っていく勇気がず、急いで靴を履いた。
夫は捨て台を残した。
「けっ、縁起が悪い。を塞ぐな」
玄関のドアが閉まり、夫が消えた。
のには再び静寂が漂った。
リビングの飾り棚の、夫が持っていき損ねた置き計の秒針の音だけが、チクタクと鳴り響いていた。
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その計のにどんな秘密が隠されているのか、にもわずに、私は緊張が解けてそのに座り込んでしまった。
こらえていた涙が溢れてきた。
怖かったからではなかった。
あまりにも惨めで、同にあまりにもすっきりしたからだ。
たけしさんが驚いて、私をぐっと抱きしめた。
「かずみさん、丈夫ですか?どこか……ごめんなさい、僕がもっとく止めるべきだったのに」
私は顔をげて、彼を見つめた。
汗で濡れた顔。配でいっぱいの、その優しい差し。
夫の最の罵倒が元で響いていたが、私の体を包むこの男の温もりは、あまりにも本物だった。
私は泣きながら、何度も謝の言葉を繰り返した。
「たけしさん、ありがとう。本当にありがとう」
私たちは夫がったそので、互いを慰めるようにしばらく抱きっていた。
しかし、私たちはらなかった。
夫がただ引きがったわけではないということを。
彼が置いていったあの計が、私たちに向けられたもう1つの罠であるということを。
その夜、私たちは夫の匂いが染み付いた寝のベッドを避け、私が使っていたさな部のベッドで互いを抱きしめて眠りについた。
嵐のようなが過ぎったが、なかなか眠れなかった。
私の隣に横たわるこの男のい体温がよい方で、胸の片隅をが押しつぶしていた。
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暗ので、たけしさんがそっと尋ねた。
「かずみさん、眠れないの?」
彼は私をベッドのだけで名で呼んでくれた。
その優しい響きに、がしらいだ。
私はさく頷いた。
「うん。々考えちゃって。あのが、本当にこのまま黙っているかしら」
たけしさんは私の腰をしっかりと抱きしめ、私の首筋に顔を埋めた。
「配しないで。刃物を持って暴れて追いされたが、何をできるって言うんだ」
彼の息遣いが触れると、緊張が解けていった。
「また来たら、僕がをへし折ってやるから」
頼もしい言葉を聞き、すると眠気が襲ってきた。
私は自分自に言い聞かせるように呟いた。
「そうよね。何も起こらないわよね。自分が悪いことをしたのに、まさか警察に通報したりしないわよね」
そうやって必にを鎮めながら目を閉じた。
しかし、私の吉な予はいつもれることがなかった。
翌朝のことだった。
たけしさんが朝を準備すると言って、キッチンでガチャガチャと音をてているので目が覚めた。
涯、が作ってくれた朝をべたことのない私が、ベッドに横たわってコーヒーのりを嗅ぐなんて。
これが幸せというものかとい、笑みがこぼれた。
そのだった。
枕元に置いていた私の携帯話が、けたたましく振した。
ジジッ。
話ではなく、メールが殺到する音だった。
私は議にい、を伸ばした。