"妻を殴った外交官と2億円の空売り" 第15話
「俺が悪かった。あの夜、をげるべきじゃなかった。彩佳にもてってもらった」
直はを乗りした。
「母にも、今は君にをさせない。それでもう度、やり直せないか」
美咲は数秒、直をじっと見つめた。
そして、静かに笑った。
嫌でもない。
あまりに遅い答えを聞いたの、底乾いた笑いだった。
美咲はテーブルので指を組んだ。
「直、私があなたをれた理由は、平打ちだけだとっているの?」
直は戸惑った。
「違うのか?」
美咲は直の目を見た。
「よ」
美咲の声は静かだが、かった。
「、あなたもあなたの族も、私をのとして扱わなかった」
美咲は言葉を区切った。
「お義母さんはで私を見し、理奈さんはの使用のように頼み事をした。あなたの友は笑って見ていた」
美咲は直を指差した。
「そしてあなたは、物を買い、活費を払い、々謝れば、私が全て忘れるとっていた」
直は何か言おうとをいたが、美咲はそれを制した。
「あなたが割れた器を片付ける私を置いて、階へがった夜、私は考えたの」
美咲はあの夜をいすように目を伏せた。
「あなたは翌、バッグを買ってくる。玄関でし嫌な顔をして私が受け取れば、やっぱり分かってくれたとう」
美咲は再び直を見た。
「受け取らなければ、いつまでっていると言う。
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どちらにしても、私の痛みはあなたの予定表にはしない」
直は、座で買ったあのオレンジの袋をいした。
美咲は彼の沈黙を見て、ゆっくりと瞬きをした。
「学院の恩師が、の結婚直にメールをくれたわ」
美咲はくを見た。
「あなたは国際融の現できな仕事ができる。誰かのの脇役になるために、才能を捨てないで欲しいって」
直は驚いて聞いた。
「なぜ俺に言わなかった?」
美咲は静かに首を振った。
「言ったわ。研究に戻りたいと」
美咲は直を直した。
「あなたは、にいてくれた方が助かると言った」
直は悔に顔を歪めた。
「そこまでな話だとは、わなかった」
美咲はたく微笑んだ。
「そうでしょうね。私のは、あなたにとってではなかったから」
その言で、直のにあったすべての言い訳が消えった。
美咲はバッグから、つ折りの類を取りし、机に置いた。
「婚協議。本の弁護士が作成したものよ」
美咲は類を指で押さえた。
「財産分与については、私が婚から完全に持っていた資産と、結婚に得た正当な共財産だけを、法に従って理する」
美咲ははっきりと言った。
「佐伯の透な資には切触れない」
直は類を見つめた。
「財産はいらないというのか」
美咲はたく答えた。
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「汚れたおで、自分のを買い戻したくない」
直は類から目をし、美咲の目を見た。
「精の件を、いつった?」
美咲の表が、瞬だけくなった。
「結婚目」
直は声を絞りした。
「それでも、なぜも緒にいた」
美咲は静かに息を吐いた。
「最初は、あなたがらなかったといたかった。族に利用されたのだと」
美咲の目が僅かに揺れた。
「でも、計画にあなたの署名があった。付は、私たちが会うだった」
直は弁解しようとした。
「事があったんだ」
美咲は鋭く言い放った。
「どんな事なら、結婚相のを先に追い込んでいいの?」
直はうつむいた。
「母が、との結びつきが必だと……」
美咲は徹に事実を突きつけた。
「あなたは務省の報に触れられるだった。その報を、のファンドに流した」
美咲は直を責めてた。
「族に言われたからで済む話ではないわ」
美咲の声はく、そして穏やかだった。
それが鳴られるより、直にはよほど苦しかった。
美咲は姿勢を正した。
「私はあなたを破滅させたいわけではない。提したのは、確認できる事実だけ」
美咲は類を直の方へ押しやった。
「処分を決めるのは、監督当局よ」
直は絶望な声で聞いた。
「俺たちのは、全部嘘だったのか」
美咲はしばらく答えなかった。
コーヒーを見つめ、やがて顔をげた。
「私の気持ちは本物だった」
その言葉に、直の顔が弾かれたようにがる。