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"昭和41年、集団就職の少年が一年ぶりに帰った故郷" 第1話

413野をた列へ向かうにつれて、窓のから京の建物がしずつ消えていった。宅の根がざかり、その代わりに枯れの田畑と、まだところどころにを残したが見え始める。は窓際の席に肩を寄せ、膝のに置いた茶い鞄から何度目か分からないほど母のを取りした。

歳になったばかりの正が、形県部のさな農れて京へたのは、ちょうどのことだった。を卒業するとすぐ、同じ町から集団就職する女たちと緒に列へ乗り、京都田区にある属部品へ入った。あの、正が持っていたのは着替えを詰めた鞄としの現、それから母が握らせてくれた梅干しのおにぎりだけだった。

の今、同じ鞄のには族への産が入っている。母には紺拭い、父には煙歳の妹・子には赤い飾り、歳の弟・健には京の菓子を選んだ。価なものではなかったが、すべて自分がで働いて得たで買ったものだった。

の仕事帰り、正は商の棚のいこと迷っていた。拭い枚を選ぶだけなのに、母がぶ柄はどれだろうと考えているうち、気づけばの主が横にっていた。

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「里帰りかい」

「はい」

「母ちゃんへの産?」

し照れて、「族みんなにです」と答えた。

は正の学ではないな背広と、ところどころ油の染みたを見たあと、「自分で稼いだか」と尋ねた。正が頷くと、主はそれ以何も聞かず、つの商品を丁寧な包みにしてくれた。

「それは、いいことだ」

その言が、どういうわけか正の胸に残った。

初めて料袋を受け取った、正はそのからに送る分を取り分けた。残ったを何かか貯め、自分のために買ったのが首の腕計だった。故郷をる朝には持っていなかった計の秒針が、今は規則正しく文字盤のを回っている。

自分はもう、あの頃のではない。

そうえばし誇らしかった。

ところが故郷がづくにつれ、その誇らしさとは反対のが胸の奥に広がっていた。あれほど帰りたかったであり、何度もに見た母の顔なのに、実際に会うづくほど落ち着かなくなる。何を話せばいいのか、どんな顔をすればいいのか、自分でも分からなかった。

はもう度、母から来たいた。

《正へ。休みが取れたと聞いてしました。みんな元気にしています。もだいぶ解けました。帰ってくるは駅まで迎えにきます》

そこまでは、いつもの母の字だった。

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しかし最に、を空けるようにだけされていた。

《父さんのことは、帰ってから話します》

はそのを、こので何回も読み返していた。

父に何があったのか。

にはそれ以かれていない。正がすぐに返事をして尋ねても、帰省までにちがなかったため、もう返事は届かなかった。

窓ガラスに映る自分の顔が、以より細くなっていることに気づいた。歳で故郷をにはまだ頬に丸みがあったが、でのし骨張ってきた。毎朝半に起き、寮の堂で飯をかき込み、半にはへ入り、械油の匂いので夕方までち続ける活が、その顔を作ったのだろう。

内には正と同じように、久しぶりの故郷へ向かう若者が何もいた。きな袋を抱えた青もいれば、京で買ったらしい鮮やかなを着た女もいる。誰もが浮きっているように見えるのに、正だけは何度も母のを折り直していた。

やがて列が速度を落とし始めた。

窓のに、見覚えのあるの形が現れる。

、何度もい浮かべた景だった。

その、正はふと気づいた。

京へ向かう列では、故郷が見えなくなるまで窓に額をつけていた。

は反対だった。

故郷がづいてくるのが、し怖かった。

そしてホームへ滑り込む直、正は母のの最をもう度見た。

《父さんのことは、帰ってから話します》

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