"8年前の罠と、氷点下の泥まみれ" 第7話
「さあ、りませんよ。あのおばさんは、いつもでどこかに消えて、そこら辺で勝にメシってますから」
「で?」
「ええ。俺たちが誘っても、緒にうことはありませんね。昼の休憩になると、まるでスルスルと姿を消すんです」
田署はさらに首をかしげた。
(さっき、会があの女を今すぐクビにして追いせと命令したが……いざ、あの過酷な寒さのでたったでも働き続けていた姿をいすと、どうにも追いす気が引けてしまうな……)
の男たちが全員逃げしてしまったこの現で、文句つ言わずに最まで残り、馬馬のように働いていたのはならぬあの「おばさん」だったのだ。彼女まで追いしてしまえば、いよいよ内装の仕げ作業は完全なオールストップになってしまう。
「まあ、とりあえず今は飯をってから考えるか」
田署はを切り替え、温かい弁当をに運び始めた。
その同じ刻。
佐藤みさきは、建物のくにある、まるで牢獄のように暗いさな倉庫にいた。
そこは窓つなく、設備なども切ない、コンクリート打ちっぱなしの空だった。積みげられたセメントの袋と、たいレンガのだけが無質に並んでいた。
息を吸うたびに、い息がむなしく空にちった。
みさきは誰に見られることもなく、そのたいにそのですっとうずくまるようにして座り込んだ。
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両膝をしっかりと抱え込み、震えるで古びたさな弁当箱を握りしめていた。
彼女は震えるで、弁当箱の蓋をゆっくりとけた。
に入っていたのは、カチカチにえ切った米と、古びたキムチの切れ端が数切れだけだった。おかずと言えるものは、それがすべてだった。
みさきは、そのえ切った袋をすことができなかった。指先の覚がすでに麻痺し、自力ですだけの温もりが残っていなかったからだ。
セメントの末でごわごわになった軍のまま、彼女はさなスプーンをどうにか持ちげた。
そして、くなったご飯をすくいげた。
たかった。蔵庫からしたばかりの代物のように、いや、それ以にえ切っていた。完全に凍りついてはいないものの、触るだけで胃が縮こまるようなたさだった。
みさきは、そのたいご飯を自分ののへと無理やり放り込んだ。
もぐもぐと、まるで械のように顎をかした。など切しなかった。ただ、これを胃に流し込まなければならないという迫観だけでみ込んでいた。
しかし、べなければならなかった。
べなければ、午の過酷な労働に耐える体力が維持できないからだ。仕事をしなければ、当という名の命綱がに入らない。おを稼がなければ、今の活のすべてが崩壊してしまうからだ。
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みさきは涙をこらえながら、械にご飯をに運び続けた。、、……。
そのだった。
(収束:の暗い倉庫で、みさきがたい弁当をに運んでいると、にドアがく音が響く。/过渡:振り返った彼女の界にび込んできたのは、絶対にここへ来るはずのない男――元夫・藤健の姿だった。)
――ギィ……ッ。
倉庫のい鉄の扉が、静かに押しけられた。
みさきは驚愕のあまりビクリと体を震わせ、慌てて顔をげた。
通からの逆のせいで、最初は誰なのかはっきりと見えなかった。ただ、黒く巨なシルエットだけがそこにっていた。背がく、幅の広い肩をした、紛れもない「男」のだった。
みさきの臓が、恐怖で激しくドスンとねがった。
(まさか……さっきの……っ!)
男が歩、い取りでへと踏みしてきた。
暗に目が慣れ、その男の顔がはっきりとアラわになった。
――藤健。
自分の元夫だった。
みさきのから、プラスチックのスプーンがポロリと滑り落ちた。
――カチャン!
スプーンがたいコンクリートのにぶつかり、乾いた音をてて転がった。
みさきは反射にそのでびがり、持っていた弁当箱を慌てて自分の体のろへと隠した。
「なぜ……? なぜ、あなたがここに……?」
彼女の声は、恐怖と揺で完全に裏返っていた。
藤健は言も言葉を発することなく、ただたい目で佐藤みさきを見ろしていた。