みかん小説
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"井戸の謎と、睡眠薬入りの水" 第19話

自分をしでも肯定してもらえるのかもしれないとでもったのだろう、カナの目にが戻る。しかし私はその期待を平然と裏切った。

「埋め戻すには井戸払いもする。だけどあなたがやっていたのは信仰でも文化でもない。あまりにも浅だわ。ただ……」

そこで言葉を切り、静かに息を吸い込む。

「夜にこそこそ井戸の周りで……とも落ちたりしなくて良かったわね」 「母さん……」 「何かあったら罪を償うこともできないでしょ。きちんと向きいなさい、自分たちのしたことに」

何か言いかけた勇気が観したようにを閉じる。夜の庭にはただカナのすすり泣きが寂しく響いていた。

そののことは驚くほどあっさりとんだ。勇気は自ら警察に向き、自分とカナが何をしたのか洗いざらい話した。け太郎の体調良の経緯、事に混ぜた眠薬のこと、薬の入。もちろんカナにも捜査のが入ったが、彼女は頑なだった。「私は何もしていない、騙されただけの被害者だ」と主張し、勇気に罪を押し付けようとした。

しかしそれで逃れられるはずもない。私のげバッグに残っていたペットボトル。そこから眠薬の成分が検され、彼女の浅な嘘は確固たる証拠のにあっさりと退けられた。

結果、類送検となる。

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そうして宅のまま捜査と続きがめられたといっても、事件の加害者と被害者が根のにいるわけにはいかない。勇気とカナは世帯宅をて、古いアパートので来るべきを待っていた。夫婦の関係がどうなっているか、私とけ太郎にはる由もない。しかし裁判が始まる頃になって、勇気がを尋ねてきた。

婚することになったと告げる声が玄関で淡々と響く。を見せない勇気だったが、施設から無事自宅に戻っていたけ太郎の姿を見た瞬、目に涙を浮かべ、げた。

それから半に判決がされた。勇気は傷害罪で懲役の執猶予。カナには懲役の実刑判決。自らし、事実を素直に認めた点が考慮された勇気に対し、罪を認めず責任を者に転嫁しようとしたカナ。その態度が量刑に響したようだった。カナがそのどうきたのか私はろうともわない。嘘をつき続け彼女がせめて塀ので犯した罪と自分のにきちんと向きってくれることを願うのみである。

あれから世帯宅を取り壊して建てたさな平に、現は夫婦で暮らしている。

「ここも良さそうね。迷うなあ」

が差し込むリビング。テーブルに広げているのは温泉のガイドブックだ。

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ページをめくりながら次はどこへこうかと話していた、チャイムが鳴った。

「はーい」

ドアをけた瞬、息が止まる。勇気。そこにっていたのはぶりに会うが子だった。

「あ、あなた、来てちょうだい!」

け太郎を呼ぶと、彼もすぐにてくる。

「ご無汰してます。実は今で執猶予がけました。だからその報告に……」

驚く私たちに、彼はこので働いてきたこと、今も続けていることを淡々と話した。

「井戸はまだ、そのまま……?」

況報告を終えた勇気の線が泳ぐ。ええ、と私が頷くと、を置いて彼は続けた。

「考えたんだけどさ、再させたらどうだろう。災害があったには活用になるし、震にもいって聞くし」

そこで旦切り、背筋を伸ばす。

「よかったら再にかかる費用は俺にさせてほしい。業者もちゃんと探すよ」 「勇気が……」 「うん。その、れて暮らすから配なんだ。父さんと母さんが何かあったしでも困らないようにとって」

その言葉にわず胸の奥がくなった。

さくなったけどな、物置をければおめるぞ」

を押さえる私の隣でけ太郎がくつぶく。勇気は瞬きょとんとし、やがてわずかに元を緩めた。

「いや、丈夫。ありがとう」

こんな笑顔を見るのは何ぶりだろうか。そのままの柔らかな表で、「また連絡する」

と言い残し、彼は静かに帰っていった。

リビングに戻り、私はガイドブックをテーブルの端に寄せる。

向いって座った瞬、け太郎が言った。

「勇気が直してくれるならラッキーだな」 「そうね。うちにはもう落ちないか配しなきゃいけないさな子はいないし」

頷いてから私ははっと目を見く。

「ん? どうした?」 「あなた、落ちないでよね!」 「それを言うならジコもな」

顔を見わせ、どちらともなく笑った。その声がさなを満たしていく。ない会話をでもく夫婦で交わせますように。する夫に、私はのうちでそっと祈った。

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