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"10倍の下剤と検事になった嫁" 第5話

夫の自然な態度には以から違があった。

彼がこれほど焦っている理由を確かめなければならない。

非常階段のい鉄の扉の向こうから、健のくぐもった声が聞こえた。

私は扉の隙を寄せ、息を潜めた。

の声は焦燥に満ちていた。

「だから今は無理だって言ってるだろう」

話の相は会社のではない。

「お袋が余計なことをしたんだよ。あいつが試験にきやがったせいで美穂が倒れた」

甘い声嫌な響きが混ざりった女性の声が漏れ聞こえる。

は声を潜めて言った。

「あのはお袋が持ってる。俺が何とかするからし待ってくれ」

私はその言葉を聞き逃さなかった。

、義母が持っている

それは違いなく義父の座から横領したあののことである。

夫は義母の横領をっていたのだ。

それどころか、そのを当てにしている。

でなだめるように言った。

丈夫だ。あいつには何も気づかれていない。婚届の準備はできてる」

から婚届という言葉。

私はたいコンクリートの壁に背を預け、目を閉じた。

私が毎義父の介護をし、彼らのために事をしているに。

彼らは私のらないところで私を追いす計画をめていたのだ。

を引き入れ、義父のを奪い、私を捨てる計画。

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私はポケットのにあるさな目薬の容器に触れた。

には義母が私にませようとした噌汁が入っている。

点と点が私ので確かな線になり始めていた。

義母が私をに縛りつけたかった理由。

夫が私に無関だった理由。

全てはこのおと裏切りで繋がっていたのだ。

私は非常階段をれ、静かに待へと戻った。

そこには自分の罪のさに震える義母の姿があった。

彼女はまだ私が全てをっていることに気づいていない。

ましてや私が話を聞いていたことなどる由もない。

私は子に座り、自分のを膝ので固く組んだ。

りでが震えそうになるのを必に抑え込んだ。

に任せて鳴り散らしても、彼らは言い逃れをするだけだ。

私は法律として、彼らを確実に追い詰める必がある。

逃げを全て塞ぎ、度とがれないほどに。

そのためにはまだ最の証拠がりなかった。

義母が掠れた声で私を呼んだ。

「由美さん……」

義母はすがるような目で私を見つめた。

「あなた、警察には余計なことは言わないわよね?」

に毒入りの椀を差ししてきた顔とは別のようである。

私は義母の目を真っ直ぐに見つめ返した。

「私は何もりませんから」

私が静かにそう答えると、義母は堵したように息を吐いた。

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しかし私のでは、静かな炎が燃えがっていた。

私が今試験会から持ち帰ったものは、格への応えだけではない。

彼らを獄へ突き落とすための確かな覚悟だった。

そのの夜、義母と夫は美穂の付き添いで病院に残った。

私はに戻り、義父の部の掃除をするふりをして引きしの奥を探った。

見つけたあの通帳の記録をもう度確認するためである。

しかし、いつもそこにあるはずの通帳が見当たらない。

嫌な予がして、私は義母の部へとを向けた。

義母の机の引きしがしだけいていた。

そこから見えていたのは、私の予をはるかに超えるものだったのだ。

なほど静まり返っていた。

壁掛け計の秒針の音だけが等隔に響いている。

私は玄関に靴を揃えて脱ぎ、廊をゆっくりと歩いた。

ふと仏壇に置かれたき父の遺が目に入った。

父の言葉が私の背を静かに押してくれた。

病院の待で震えていた義母の姿と、非常階段で焦っていた夫の声。

そのつの態度が私ので何度も繰り返されていた。

法律として最もなのは、客観な証拠を集めることである。

推測だけで相を責めれば必ずしらを切られる。

今このに私以の誰もいないこのは、神様がくれた最会だった。

私はきく呼吸をして、1階にある義母の部の襖をけた。

は義母が毎焚いている檀のおの匂いが染み付いている。

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