"26人が去った屋敷――会長の息子は、貧しい家政婦の腕で泣きやんだ" 第14話
ハルトのため、だけではなく
さやかは、訂正文の入った封筒を鞄へしまった。匠は彼女が頷くまで座らず、向かいの子に腰をろしてから、机ので両をねた。
「祖母の言葉は、あので止められた。の確認が済んでいなくても、それはできた」
さやかは膝のに目を落とした。欲しかったのは、調査をやめて無条件に自分を信じるという約束ではなかった。あの病院で何があったかをるに、せめて言葉を挟んでほしかったのだ。
「私にも待ってほしいとおっしゃるに、何か言っていただきたかったです」
「そうだね。俺は仕事の話へ逃げた。君が傷ついていることを、回しにした」
匠はをげた。叔父のせいだとも、祖母は昔からああいうだとも言わなかった。
「妻にできなかったことまで、君に受け止めてもらおうとしていた。優しくしたかとえば、急にざけるようなこともした。申し訳なかった」
さやかは、すぐには丈夫だと答えなかった。匠も、その言葉を待つように顔をのぞき込むことはしなかった。
そのは、次に会うを改めて相談するとだけ決めて別れた。仕事帰りの々に混じって駅へ歩く途、さやかは鞄の持ちを握り直した。彼の謝罪を受け取ることと、またづきたいとえることのには、まだ距があった。
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、臨株主総会で正の取締役としての解任も決まった。会社への損害や調査費の扱いについては、確認と対応を続けているという。さやかには訂正の通が関係者へ届いたことも報告され、文乃からは直接謝りたいという申しが来た。
さやかが選んだのは、敷のにある喫茶だった。匠と千代も同席したが、文乃は2に代わって話してもらおうとはしなかった。杖を子の脇に置き、さやかへ体を向ける。
「あなたの仕事も、弟さんを案じる気持ちも、私のい込みで悪く取りました。だけでを見し、傷つけました。本当に申し訳ありませんでした」
文乃がをげると、首元の真珠が揺れた。さやかはかつてエプロンへ向けられた線をいし、めかけたお茶からをした。
「訂正とお詫びは受け取りました。ただ、今ですべてを忘れるとは、お約束できません」
「分かりました」
文乃はそれ以を求めなかった。帰り際にも、斗のために戻ってほしいとは言わず、千代に支えられて席をった。
2を見送ると、匠はさやかへ、しだけ歩けるかと尋ねた。彼女が頷き、のへる。通りのないへ入ったところで、彼はを緩めた。
「今伝えたかったのは、謝罪だけじゃない」
さやかは彼を見た。匠は度、息をえた。
「君に会いたいとっている。
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斗が会いたがるからだけではなく、俺が」
彼は線をそらさずに続けた。
「仕事が終わったあと、何をして過ごすのか。何を見て笑うのか。そういうことを、もっとりたい。さやかさんが好きです」
胸の奥がくなった。さやかは言葉を探しながら、歩の縁へ目を落とした。嬉しいとう気持ちまで消せなかったが、あの客のことも、まだ忘れてはいなかった。
「し、をいただけますか。お話ししていて楽しいとうもあるんです。でも、まだ構えてしまうもあります」
「待ちます。会うかどうかも、君が決めてくれればいい」
匠はすぐに次の約束を取りつけようとはしなかった。駅の入が見えるところまで緒に歩き、そこでち止まった。
さやかは改札へ向かいかけてから、振り返った。
「今度、お昼をご緒しませんか。お仕事のお願いではなくて、普通に」
匠の表がほどけた。その顔を見て、さやかもし笑えた。