"26人が去った屋敷――会長の息子は、貧しい家政婦の腕で泣きやんだ" 第13話
追いされる席
「篠原さんには、事実確認のためにお越しいただいています」
この件のを任された社取締役が告げると、正は子を引くを止めた。さやかは案内された席に座り、持参した資料を机へ置いた。向かいには、あの指摘を受け取った役員たちがいる。
正は先にをき、会社から300万円がていることと、会が私に病院へ向いたことを述べた。病院の写真が映しされる。さやかは膝ののをほどき、発言を求めた。
「その300万円は、誰が受け取ったんですか。黒く消したところを見せてください」
「関係先への配慮だと、説したはずだ」
「私と弟の名は、そのままかれています。私たちへの支だと説するなら、振込先も示してください」
役が監査役へ頷いた。画面が切り替わり、の取引細が表示される。受取の欄には、調査会社の名があった。
監査役が請求と受領記録を示し、契約に基づく払いであることを説した。正は類を引き寄せ、すぐに言い返した。
「役員を守るための調査だ。会社として必な経費だろう」
「今、伺っているのは、その非ではありません」
役は正の資料をいた。
「この支を、篠原さんの弟の治療費に使われただと説した根拠を伺っています」
正の指が、の角を何度もそろえた。
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会議の誰も、その元から話をそらしてくれなかった。
続いて、調査報告の原本と配付版が並んだ。銭供与を裏づける事実は確認されなかったという結論が、原本には残っている。削除を指示した正のメールも、同じ画面に映された。
「抜粋にき違いがあったのだろう。担当者にも確認を」
「作成担当者には確認済みです。あなたの指示どおりだという回答でした。この送信記録について、異議はありますか」
監査役に尋ねられ、正はを結んだ。しばらくして、匠へ体を向ける。
「おがのことを抱えていた、誰が会社を支えていたとっている。私は内として、問題がきくなるに」
「そのために、弟の病気を使ったんですか」
さやかの声に、正が振り返った。彼女は写真を指ささず、本を見た。
「私は、弟の具が悪くなって病院へきました。そのの顔を、おを受け取った証拠にされました。受け取っていないと伝えても、説を聞いていただけませんでした」
言い終えるまで、誰もを挟まなかった。さやかは用した文面を机へした。
「この指摘を受け取ったすべての方へ、事実と違っていたと訂正してください。私が仕事を辞めたことも、おを受け取ったと認めたためではありません」
役はその文面を受け取り、正へ回答を求めた。
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正は度、匠を見た。匠が黙って待っていると、ようやく机へ目を落とした。
「篠原さんや弟さんのために、この300万円が支払われたという根拠はありません。その説は撤回します」
正は両を机に置き、さやかに向かってをげた。
「根拠のない説で、お2の名誉を傷つけました。申し訳ありませんでした」
「受け取った方々への訂正も、お願いします」
正が頷くのを確かめ、さやかはをげた。自分の説を終えて退する、入ってきたよりも元が確かだった。
隣の待でしばらく待つと、廊にのく音がした。正が会議からてきて、閉じた扉を振り返っている。自分の代表権に関する決議には加わらないよう求められたのだと、あとから説を受けた。
その、監査役と役が結果を伝えに来た。取締役会は正を代表取締役から解職し、副会職も解くことを決めた。会社への損害や、調査費の使い方については、引き続き確認するという。
さやかには、会社名義の訂正文が渡された。問題の300万円を彼女や族が受け取った事実はなく、弟への医療費支援とする説も誤りであったと記されている。配付先には役員だけでなく、正が説した文乃も含まれていた。
送付の配が始まるのを確かめ、さやかはそのを封筒へ収めた。
鞄のには、疑われたの写真と、訂正を求めた自分の文面がある。どちらも、自分の元に残しておいてよかったとった。
廊の向こうで、正が秘へ何かを言いかけた。秘は以のように先回りしてかず、しい決裁の順について説していた。正は持ってきた封筒を脇へ抱え、さやかに声をかけることなくちった。
さやかが席をつと、匠が1で待へ来た。仕事を頼むの調ではなく、しを置いて呼びかける。
「さやかさん。俺の話を、聞いてもらえませんか」