"26人が去った屋敷――会長の息子は、貧しい家政婦の腕で泣きやんだ" 第6話
画面に映った
蔵庫の扉にをかけたのは、由里だった。
画面のの彼女は、鉢を取りして蓋をけると、そのままをごみ箱へ落とした。スプーンで底までかきし、空になった器を流しに置く。それから配膳台のノートを取り、部をていった。
「これは、古くなったものを片づけただけです」
由里の声に、匠が顔を向けた。
「さっきは、捨てられている事を見つけたと言ったね」
由里はをいたまま、壁の黒いモニターを見た。千代が端末を机に置き、同じ箇所をもう度再する。
「故障しているのは、この壁のモニターです。録画は交換しています」
さやかは蔵庫から取りされた器を見つめた。朝、美紀が追加用に分け、蓋をしてくれた鉢だった。斗が自分からもうひと欲しがったらそうと、楽しみに残していたものだ。
買いしから戻った美紀が呼ばれ、画面を見るなり眉を寄せた。
「今朝、私が取り分けた器です。べさせる分と、追加の分を分けました。古い事ではありません」
千代は破れたノートも見せた。美紀は綴じ目を確かめ、由里へ顔を向ける。
「あなた、私がかける、そのノートを持っていたでしょう。千代さんへ届けると言っていたから、頼んだつもりでいたのに」
「それは……」
匠はさやかから受け取った写真を、いたノートの横へ置いた。
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「812分には、このページがあった。事を捨てたあと、君はこれを持ちしている。どこへ届けたんだ」
由里は答えず、エプロンの端を握った。千代がもう度尋ねると、ようやくさな声が落ちた。
「破ったのは、私です。でも、あのだって……」
さやかは返事をせずに待った。由里は彼女を見ると、抑えていたものを吐きすように続けた。
「私は3もここで働いているんです。来たばかりのが、子どもを抱いただけで、何でも任されるようになって」
「だから、私が事を捨てたことにしたんですか」
さやかが尋ねると、由里は目を伏せた。器には、端末から聞こえるさな操作音だけが残った。
「皆さんので言ってください。私が事を捨て、嘘の報告をしたという話は、違いだったと」
由里は匠を見たが、彼は助け舟をさなかった。やがて肩を落とし、さやかへをげる。
「私が捨てました。篠原さんが報告をごまかしたというのも、事実ではありません。申し訳ありませんでした」
さやかはその言葉を聞き終えてから、ノートを引き寄せた。
「訂正してくださったことは、確認しました」
許すとは言わなかった。は貼り直せても、子どもの事まで利用して仕事を奪おうとしたに、すぐ背を向けられるわけではなかった。
匠が由里に鍵の返却を求め、千代へ私物の理と職の続きを指示した。
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由里は何か言いかけたが、机のの映像を見てを閉じた。エプロンのポケットからした鍵が、配膳台に乾いた音をてる。
「篠原さんの仕事に問題はなかった。ほかの者にも、そのように伝えてくれ」
匠は千代に告げてから、文乃にも同じ言葉を向けた。文乃は杖の握りを持ち替え、さやかの顔を見たが、言葉は続かなかった。
さやかはページをいた。破り取られた箇所には、印刷した写真を貼ればいい。千代が差ししたテープを受け取るになって、ようやく指のこわばりがほどけた。
由里が退したあと、斗が廊からさやかを呼んだ。そばにしゃがむと、さなが彼女の胸の名札に触れた。
「さやか」
「うん。ここにいるよ」
数、その名札をして休憩に入ろうとした、スマートフォンが鳴った。表示された病院名に、さやかはすぐ通話をつないだ。
「篠原優太さんのご族ですね。ご容体に変化がありまして、状況をお話ししたいのですが、来院は能でしょうか」