"義母が遺した二十年の通帳" 第13話
由美が言いくるめて、自分の座にを流させていたと考えるのが自然でしょう! 叔母さんだって佐藤の血筋なんだから、の財産がの に奪われるのを黙って見てられないはずだ!」
「の?」
芳叔母さんの声が、をうようにくなった。
「浩。お、今、自分の妻に向かって『の』と言ったのかい?」
「だ、だって実際そうじゃないですか! 嫁に来ただけのだ!」
「嫁に来て、おのをやり繰りし、子供を育てげ、寝たきりになった姉さんの汚れたシーツを真ので洗いし続けたを、おはまだ『の』と呼ぶのかい」
芳叔母さんの静かなが、浩の顔を射抜いた。 浩は元を歪め、言葉を失ってち往した。
すると、沈黙に耐えかねたが、震える声でをいた。
「叔母さん……でも、法律にはおかしいよ。いくら母さんが介護をしたからって、ばあちゃんの預を勝に贈与させていい理由にはならない。俺たち子供にも、代襲相続というか、本来もらえるはずの権利があるはずだ。それを母さんがでネコババするのは、遺留分の侵害じゃないのかよ」
の言葉を聞いた瞬、芳叔母さんはフッと、れむような笑いを漏らした。
「。お、学までしてもらって、覚えた恵がそれかい」
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「な……」
「おが着ているその綺麗なも、学の入学も、すべて由美さんが朝と夜に油まみれになって稼ぎしたおからているんだよ。それをおは『自分の権利』だと? 恥ずかしくないのかい。母親の骨の髄までしゃぶり尽くしておいて、まだんだ祖母の懐にを突っ込む気かい」
の顔が、屈辱で真っ赤に染まった。 拳を握りしめ、唇を噛んで俯く。
「もういい。見苦しい言い訳はそこまでにしておきなさい」
芳叔母さんは革の類鞄のファスナーをけた。 から取りされたのは、茶い分い封筒と、公証役の刻印が鮮やかに押された、紐綴じの公な公正証だった。
ドン、とそれがテーブルのに置かれた。 乾いたい音が、静まり返ったリビングに響き渡る。
「浩。おが喚き散らしているその通帳のについて、姉さん――静さんが遺した正式な信託証と、公正証遺言の控えだよ。に度作成され、、姉さんの識がまだ誰よりも晰だったに、内容を再確認して更されたものだ」
浩の目が、その類に吸い寄せられた。
「公証役……? なんで、そんなものを……」
「決まっているだろう。姉さんはね、おという男を、最初からこれっぽっちも信用していなかったんだよ」
芳叔母さんは封筒のから、つ折りにされた便箋を枚、丁寧に取りした。
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い桜の便箋に、義母の静特の、し角ばった、だが驚くほどった達な文字が並んでいた。 インクのは、義母が好んで使っていたいブルーブラックだった。
「これはね、姉さんが私に預けただ。もし私がんで、おたちがその浅ましい本性を剥きしにして、あの通帳のことで由美さんを責めてたなら、そのはこのを全員ので読み聞かせてやれと言われていた」
芳叔母さんは老鏡をかけ、便箋を両で広げた。 部のの空気が、ピンと張り詰める。 換気扇の回る微かな音すら止まったかのような、絶対な静寂がりていた。
「読みますよ。して聞きなさい」
芳叔母さんの通る声が、たい部を満たしていった。
『浩、、真奈。そして、私のする由美さんへ』
義母の名を呼ぶ声に、私の胸の奥がキリリと痛んだ。
『このが読まれているということは、私はもうこの世におらず、そして私の愚かな息子と孫たちは、あの緑の通帳を見つけして、由美さんを棒のように責めてている頃でしょう。 私の予がれていればどれほど良かったかといますが、、私の見て通りになっているはずです。 なぜなら浩、おは私の腹を痛めて産んだ息子でありながら、その性根は、私のき夫――おの父親に恐ろしいほど瓜つだからです』
浩の肩が、ビクッとねた。
『私は佐藤のに嫁いでから、おの父親の横暴と勝さに耐え続けてきました。