みかん小説
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"義母が遺した二十年の通帳" 第3話

それが止した途端、脱所はの踏みを失った。

目の夜、洗面所からの絶叫が聞こえた。

「うわっ、なんだこれ! 最悪だ!」

駆けつけてみると、が縮みがったウールのセーターをち尽くしていた。 先、初任の記に買ったという、万円以する級なニットだった。

「なんで縮んでるんだよ?! 誰だ、これ乾燥にかけたの!」

通りかかった真奈が、ややかに言い放つ。

「私らないわよ。あんたが自分で全自ボタン押したんでしょ? 標準コースで乾燥まで気にやったら、セーターなんて縮むに決まってるじゃない」

「おってたなら止めろよ!」

「私のったこっちゃないでしょ! それよりあんたのせいで私のブラウスに移りしたんだけど! この青いタオルと緒に洗ったでしょ! 最!」

は洗面所ので、掴みいばかりの罵りいを始めた。 そこに仕事から帰ってきた浩が加わる。

「うるさいぞ、おたち! 帰ってきて々、みっともない声をすな! それよりバスタオルはどこだ! 呂に入ろうにもタオルが枚もないぞ!」

「カゴのほどあるでしょ!」と真奈が鳴り返す。

「全部濡れてて臭いんだよ! 洗って乾かしてあるやつをせと言ってるんだ!」

声が廊に響き渡る。 線が、斉に階段をりてきた私へと向けられた。

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その目には、「おがなんとかしろ」という傲求がありありと浮かんでいた。

私はを止め、ややかに言った。

「バスタオルは、各自で洗って干すルールです。私の分は、私の部のベランダに乾いたものが枚ありますけれど」

「お……族がこんなに困ってるのに、よく平気な顔をしていられるな!」

が拳を握りしめ、私に詰め寄ってきた。

「ちょっと事をサボるくらいなら目に見ようとってたが、度が過ぎるぞ! 洗濯くらい、ついでに回せばいいだろうが! たかがボタンつ押すだけのことに、何をし惜しみしてるんだ!」

「ボタンつ押すだけのことなら、どうしてご自分でなさらないのですか?」

私の静かな問いかけに、浩は言葉を詰まらせた。

「それは……俺はで稼いできてるからだ!」

活費も各自ですとおっしゃいました。私もパートで自分の活費を稼いでいます。このに、誰かの世話を無償で焼かなければならないは、もうもいません」

私は浩の横をすり抜け、台所へと向かった。 背で浩が「くそっ!」と壁を蹴る鈍い音が響いた。

目、今度は台所がんだ。

この、彼らはやコンビニ弁当で飢えをしのいでいた。 だが、べ終えたのプラスチック容器、割り箸、み残しのペットボトルを、誰として洗おうとも捨てようともしなかった。

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ダイニングテーブルのは、油の浮いたコンビニの空き容器で埋め尽くされた。 流し台には、が夜に使った鍋と、真奈が使ったマグカップがも張られずに放置され、黄い油膜とカビが張り付き始めていた。 甘ったるい腐敗臭が漂い始め、どこからかさなコバエがび交うようになった。

私は、自分の事のためだけに、流し台の端のセンチ方のスペースだけを徹底に磨きげて使った。 さな片鍋でご飯を炊き、鮭をひと切れ焼き、根の噌汁を作る。 べ終えたら、そので茶碗を洗い、拭きげ、棚にしまう。

私が自分の席で、湯気のつ鮭の塩焼きに箸をつけていると、コンビニのたいパスタを啜っていたが、忌々しそうに呟いた。

「……なんか、がすげえ臭くない?」

「あんたがゴミを捨てないからでしょ」と真奈がをつまむ。

「おのだってあそこにあるだろ! 燃えるゴミの、昨だったんじゃないのかよ!」

るわけないでしょ! ゴミ収集のなんて、今まで気にしたこともなかったんだから!」

の会話を、私は黙って聞いていた。

そうだろう。 何曜に燃えるゴミがて、何曜にプラスチックで、何曜にビン・カン・ペットボトルなのか。 ペットボトルのラベルを剥がし、キャップをし、でゆすいで潰す。

牛乳パックを切りき、乾かして束ねる。 域の指定袋を買いにき、カラス除けのネットをかけ、朝までに集積所へ持っていく。

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