"義母「家を売って弟の借金を返せ」夫に奪われかけた私の家" 第11話
当の彼は私のマンションを見て、「麗華ってすごいな。俺も頑張らないと」と笑っていた。
あの言葉がすべて嘘だったとはわない。
は途で変わる。
あるいは、最初から持っていたさが、追い詰められたときに表へることもある。
だから私は、結婚した7まで全部否定するつもりはなかった。
楽しかったは確かにあった。
ただ、それと最に起きたことは別だ。
過に優しかっただから、今傷つけられても耐えなければならないわけではない。
族だから、財産を差しさなければならないわけでもない。
妻だから、夫の失敗を肩代わりしなければならないわけでもない。
私は類を元へ戻し、庫の扉を閉じた。
をると、のが頬に当たった。
あの夜、正也に打たれた所だった。
もう痛みはない。
痕も残っていない。
けれど私は、あのを忘れようとはわなかった。
忘れなくてもへめるからだ。
その週末、で子どもたちに受けを教えた。
転んだときにを守る方法、体を固くしすぎないこと、へをつこうとしないこと。
何度失敗しても、子どもたちは笑いながら起きがった。
稽古が終わる頃、以質問してきた8歳の女の子が私のところへってきた。
「先、今ね、転んだけど痛くなかった」
「に受けできた?」
広告
「うん。ちゃんと起きたよ」
私は笑った。
「それなら分」
女の子は母親のところへ駆けていった。
私はそのさな背を見送りながらった。
もし似ているのかもしれない。
転ばないことだけがさではない。
転んだとき、自分を守り、もう度ちがれること。
そして次に同じ所を歩くとき、自分のでむを選べること。
夜、へ帰ると、窓のにはのかりが広がっていた。
私は分の夕を作り、に茶を入れた。
静かな部だった。
けれど以のような、相の嫌を気にして息を潜める静けさではない。
誰にも鳴られない。
誰にも命令されない。
突然ドアをけられることもない。
その静けさので、私はようやく自分の活が戻ってきたのだとじた。
テーブルの引きしをける。
数の産会社のチラシが入っている。
私はもう度に取り、裏面の査定申し込み欄を見た。
所者氏名。
そこには、当然まだ何もかれていない。
私はペンをにした。
そして、瞬だけ考えたあと、何もかずにペンを置いた。
今は売らない。
も売らないかもしれない。
でも、それを決められること自体が、今の私には何より切だった。
あの夜、正也は私の頬を打った。
私は殴り返さなかった。
代わりに、自分のを彼のから取り戻した。
そして今、このを売るがいつか来たとしても、その類に署名するのは正也でも清子でもない。
私だ。
値段を決めるのも、む所を選ぶのも、誰とを歩くのかを決めるのも、もう私自だった。