"合格発表の日、父が消えた" 第9話
修は頁の原本を佐伯へ預けたことを隠し、自分が町をれる条件を受け入れた。
宇都宮の宿で、原から渡された万円のうち万円を返送した。残した万円で週暮らし、そのは雇いの製本として働いた。原のに紹介されただとったのは数だったが、族へづけば資料を探しして燃やすと脅すが届き、けなかったという。
「その脅しは、いつまで続いたの」
「ほどで来なくなった」
「じゃあ、残りのは?」
修は答えられなかった。目にをし、真理子から返事がなかったとき、妻と娘は自分を拒んだとった。その、埼玉へ戻って栞をくから見た。娘が笑って同僚と歩いている姿を見て、自分が現れないほうが幸せだとい込んだ。
「おが学へかなかったことは、聞でった。塚本たちに騙されたと分かっていた。それでも帰れなかった。帰れば、おに何のために消えたのかと聞かれる。その答えがなかった」
栞は、通のを机に並べた。父は毎、来こそ話すといた。が経つほど帰れなくなったのは、族を守るためではなく、自分が違っていたと認めたくなかったからではないかと尋ねた。
「そうだ」
修は初めて言い訳をしなかった。栞を守ろうとした気持ちは嘘ではない。
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しかし、その気持ちを理由にすれば、娘のを奪った責任まで許されるとっていた。父親でいる資格がないといたも、罰を受ける覚悟ではなく、説から逃げるための言葉だった。
「格、おめでとうって、まだ言ってなかったな」
「私は、あのから度も格したとってない」
修は俯いた。寿司の主がの折を運んできたが、栞は蓋をけなかった。代わりに、学と警察へ同するよう父に求めた。修が被害者である部分も、自分で偽装に加わった部分も、すべて証言してほしいと言った。
修は承諾した。そして鞄から、さな録音をした。民会館へ向かう、作業着の胸ポケットに入れていたものだった。池は切れていたが、内部の記録媒体は残っている能性がある。
「どうして今までさなかったの」
「これをせば、俺が最初から録音するつもりで会いにったことも、途で取引を選んだことも、全部分かる。無理やり消された被害者のままではいられなくなる」
父は、犯罪者から逃げていたのではない。
自分の声が記録された、このさな械から逃げ続けていたのだ。
栞は録音を受け取るに、もうつ尋ねた。修がに自宅くまで来たとき、なぜ呼び鈴を押さなかったのか。修は、窓越しに真理子がで夕を取っている姿を見たと答えた。
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卓には自分の席がなく、脚だけが向かいっていたため、ようやく母娘の暮らしがったのだとったという。
「お母さんは、あの、私が残業から帰るのを待っていただけ。あなたの子を捨てたのは、脚が折れたからだよ」
を決めた理由が、そんなさな見違いだったことに、栞は笑うこともることもできなかった。修は、相に尋ねずにを決め、度決めると、それにわせて自分を罰し続けた。善も罪悪も、確かめなければただの独りよがりになる。
「今は、私がここへ来るとっていたのに逃げなかった。それだけは、と違う」
修は両を膝のに置いた。栞はその言葉を慰めのつもりではなく、事実として告げた。父を許すかどうかはまだ決められない。それでも、変わったことまで否定してしまえば、今度は自分が事実を都よくき換える側になるとった。
録音のデータは専業者によって復元された。音声には、民会館の会議で交わされた約の話しいが残っていた。原が百万円の窃盗を修に負わせる計画を説し、塚本が栞名義の答案を机へ置く音も入っている。
修は何度も拒絶していた。警察へく、娘には自分で説すると言った。しかし原が、真理子も共犯として事聴取を受け、も差し押さえられるかもしれないと告げると、い沈黙が続いた。